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久しぶりに時代劇を見た感じ。この前に見たのは残念な室町何とかだったが、その前の「十一人の賊軍」(2024・日)は良かった。本作も含め、3作とも東映作品。やっぱり時代劇は東映か。 本作が良いのは、仇討ちの話ではなく、その事件の真相を探るミステリーだと言うこと。原作は永井紗耶子の『木挽町のあだ討ち』(新潮社)で、直木賞など数々の賞に輝く傑作時代小説なんだそう。 まず映画として、絵がきれい。映画らしさを感じさせる。真っ白な雪景色に、真っ赤な着物。それを俯瞰で捉えて、赤い傘が落ちて、赤い血が飛び散る。うまいなあ。 ちょっと群像的な描き方になっていて、それぞれキャスティングも見事。みな上手いし、説得力がある。戯曲家役の渡辺謙は存在するだけで作品が締まる感じ。ただ、1人だけちょっと重すぎる気はしたが‥‥。 意外なところでは森高座の木戸芸者を演じた瀬戸康史。梅酒のコマーシャルのイメージとは違って、べらんめえ口調の江戸っ子というか、落語家とか講談師のようなしゃべり方が板に付いていて驚かされた。さすが俳優。 もちろん主演の柄本佑は良かった。とぼけた感じで押しも強くないのに、知らないうちに懐に飛び込んでしまうようなコロンボ刑事的なキャラクターがピッタリ。公式サイトには監督が「刑事コロンボ」をひらめかせたとあった。やっぱりね。 ボク的にもっとも素晴らしいと思ったのは、女形の二代目ほたるを演じた高橋和也。どちらかと言えばゴツゴツした男っぽい顔つきの人なので、おかしさも含みながら、女らしく演じれば演じるほど、悲しさのようなものがにじみ出ていた気がする。きっと良い人なんだろうな、いろいろ苦労したんだろうなという感じが伝わってきた。 監督・脚本は源孝志。邦画をあまり見ないボクは初めましてなんだけれど、TVドラマが多いものの、劇場作品「東京タワー」(2004・日)や「大停電の夜に」(2005・日)などのラブ・ストーリーを撮っていて、近年は怪談や忠臣蔵など時代劇も撮るようになっていたよう。 時代感もよく出ているし、時代劇としても、映画としても素晴らしい。たぶんドラマ部分は申し分ない出来。気になったのはアクション・シーン。ドラマ・パートが良いだけに、アクション・シーンの?が際立ってしまったようにも思える。構成的には悪くないのに、表現力が‥‥ 冒頭の仇討ちのシーン。若侍が敵から怪力で振り回されるのだが、どう見てもワイヤーで吊られていて、投げられる方は変に腰が浮いている。昭和の子供向け変身ヒーローものというか、昔のアクション・シーンはみんなこんな感じだった気もするが、今だと興ざめする。もっとどうにかできたはず。そして、剣術の先生と主人公が対峙するシーン。ガイ・リッチー監督の「シャーロック・ホームズ」(Sherlock Holmes・2009・米/独)のように仮想で魂(分身?)のようなものが体を抜け出して戦うのだが、ちょっとレベルが低い感じ。ああ、もったいない。 タイトルの木挽町は、今の銀座の5丁目から7丁目あたりだそうで、まさに歌舞伎座の近辺なんだとか。仇討ちが行われた空き地が芝居小屋の隣になくてはならず、だから木挽町だったわけだ。なるほど。そして「仇討ち」ではなく「あだ討ち」の理由も明かされる。なるほど。これは原作も読んだ方が良いかも。 公開3日目の初回、新宿の劇場は10分前くらいに開場。上映までの時間が短いので、スクリーン前の狭い通路のようなところに人がたくさん待っている。せめて15分前とか、もうちょっと余裕をみて開けて欲しいなあ。観客層は中高年がメインで、男女比は女性が多めで3.5対6.5くらい。おばさんメインで、若い人も少し。下は親に連れられた小学生くらいの男の子もいたが、ちょっと残酷シーンもあるので、どうだったのだろう。最終的には251席の9.5割くらい、ほぼ満席。素晴らしい。それでも大きなスクリーンでやっているところが少ないのは残念。時代劇だと人が入らないと思われたのか‥‥。 スクリーンはシネスコ・フルで開いていて、8分くらい前から案内と予告。CMをはさんで予告が続き、非常口案内でランプが消え、半暗に。そこからCM、本予告? ラストにマナー、四角の枠付き映画泥棒、映倫と続いて暗くなり、東映の波が砕けるロゴから始まる本編へ。 この劇場は座席のカップ・ホルダーが汚れていたり、エスカレーターにたくさんポップコーンが落ちていたり、トイレの清潔感もいまひとつ。どこか場末感が漂う。このビルが建つ前の劇場時代から場末感はあって、伝統? |