★エスキモーは差別用語?★


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 アラスカの原住民をエスキモーといいます。北米インディアンのアブナキ族の言葉で「生の肉を食べる人」という意味です。これを「生の肉を食べるヤツ」だとして、差別用語だという人もいます。だからエスキモーではなく、「人」という意味のイヌイットと呼ばなければならないというのです。

 最近は特に差別用語というのにアメリカばかりでなく、日本も厳しくなっているので、よくこんな話を耳にします。はたしてどちらが正しいのでしょうか。


dance
ネイティブによる伝統的ダンス
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 実際にはエスキモーは差別用語ではありません。上のように単に「生の肉を食べる人」という意味なので、別に蔑称ではないからです。そして本当に以前はアラスカ・ネイティブの人たちは生肉しか口にしなかったのです。この辺は新田次郎の「アラスカ物語」に詳しいので、興味があったらお読みください。

 で、なぜ断定できるのかというと、アラスカ・ネイティブに友人・知人がたくさんいるアラスカ在住のウッディ小林さんに聞いたところ、彼ら自身が自分たちのことをエスキモーと呼んでいるのだそうだからです。もし蔑称だとしたらそんなことはしないでしょう。

 それに、変に気を遣われて「身長の不自由な人」なんて呼ばれるよりはいっそのこと「チビ」と呼んでくれということもあるのかもしれません。だって、わざわざ普通の人間のことを指すのに「人」なんて呼ぶのはいかにもおかしいでしょう? 人という意識がないから、あえて人と呼んでしまっているような。それこそ差別なんだと思いますけどね。要は言葉より心というところに行き着いてしまいます。

 でも、心以前に、確かに人を傷つけてしまう言葉というのもありますから、十分気を付けなければならないのは言うまでもありません。


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