★アラスカ物語って?★


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 高倉健で映画化された「八甲田山死の彷徨」などで知られる作家、新田次郎原作の小説が「アラスカ物語」です。

 小説とは言え、実在の人物の半生を丹念にリサーチし、実際にアラスカまで出かけて取材した結果に基づいて書き上げられたルポルタージュのような作品です。登場人物はすべて実在した人々。実際に、主人公の日本人、フランク安田のお墓は、自分が作ったビーバーという小さな町にあります。

 19世紀末、宮城県石巻市出身の医師の3男(だったかな?)だった安田は、アメリカに渡り、ひょんなことからアラスカの海岸地方のエスキモーと共に暮らすようになります。しかし、白人の乱獲によって海岸地方のエスキモーの主食である鯨が捕れなくなり、彼らは絶滅の危機に瀕します。

 そこでフランク安田は移住を提案し、妻であるエスキモーのネヴィロと共に、南の山脈を越えて移住先探しの旅に出ます。そこにイギリスから来た鉱山技師の男も加わって、移住先と共に金鉱をも探すことになります。

 苦難の末、彼らは大いなる川、ユーコン川の上流に野生動物の宝庫でもある最適の地を見つけ、川にビーバーが多かったことからそこをビーバーと名付けます。その上、支流をさかのぼったところに金鉱を発見し、新しい町を作る資金をも得ます。

 しかし、川をはさんで南側は先住民がいたため、発見した金で酋長への贈りものを買い込み、北側は自由にしてよいという許可を得ます。そして、再びポイント・バローにもどり、数百名のエスキモーを連れて帰り理想通りの町を建設したのでした。

 その後、フランク安田は第2次世界大戦で、日本人強制収容所に入れられたりもしますが、孫にまで恵まれ、かなり高齢まで存命だったということです。お孫さんのハナさんが亡くなったのも、つい数年前のことです。

 また、ポイント・バローで、最初にフランク安田を助け世話をした白人のチャールズ・ブロワーさんのお孫さんは存命で、かの地で北海油田を所有する傍ら、ホテルを経営されているそうです。

 「アラスカ物語」は20年以上前に出版され、ラジオ・ドラマ化され、北公路欣也の主演で映画化もされています。現時点で本を探すとしたら、古本屋さんを探した方がいいかもしれません。たぶん絶版になっていると思います。


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