NY旅行記最終章。
2004.1.24
丸一日使える最後の日。いままでの時差ボケで昼寝が多かった分を、取り戻すべく足を使いまくる。
先ず昨日行けなかったミッドタウンのギャラリー街へ。WelcomeのオファーがあったJames
Goodmanのギャラリーのあるビルに入る。おやや?どうしょうもない程高級感いっぱいのビル。で、その画廊に入ってみる。ミロの、マチスの、ゴーギャンの、ヘンリー・ムーアーのオリジナルが整然と並んでいる。場違いとはこの事である。何故私にオファーが来たのか??ビル内の他のギャラリーも同様だった。これじゃ目的外。直ちにチェルシーに行くと決める。
が、その前にちと早めの昼飯を49丁目にある超有名(といってもチープ)日本料理屋=サッポロで。ここへもどうしても行ってしまうなあ。そう激ウマな訳じゃないんだけどやはり安心するんだよね。私はカツ丼、かみさんはタンメン。
その後チェルシーへ。21日に廻っていなかった所を見物。今回もいい作家、いい作品に多く会えた。特にJames
Lecce。マーブリングの様な模様が有機的で美しかった。またSeptember11に影響を受けたArtemis
Schwebelの作品からは、強い痛み、悲鳴を聞いた。他まだまだ良い作品・作家があったが書ききれず。真にチェルシーは楽しい。1キロ四方の区画に200以上ものギャラリーがひしめいている。なかには美術館?といってもおかしくない位
の規模を持つ所も幾つかある。
続いてもう一つのギャラリー街、ソーホーへ。昨夜宿で約束した通
り、ピエールとゲイリーのいるギャラリー?へ。そこはソーホーと言うより殆どチャイナタウンのど真ん中だった。急な階段を6階まで登ってドアを開けると...。ありゃ?結構広い室内には机におかれたPCがひとつと、花瓶のようなものがひとつ飾られているだけで他はなにもない。暫くすると二人が現れた。話を聞くと展示品は彼ら自身で、ここでキュレーターや作家などいろんな人に会って、ロンドンに帰ってからどんな作家を採用するか熟考するのだそうだ。非営利団体として活動しているらしい。なんだか涙ぐましい。頑張れよ、ピエール、ゲイリー。
ソーホーを少しぶらついた後、ノリータ地区へ。10月にちょいと入ってみたジャパニーズ喫茶=Cake'O
ケイコに入る。あ、いたいた。そう、昨年店に行った次の日に地下鉄でバッタリ会った女の子。この店の店員は日本人が多かったのだが彼女は違う様だった。なんか水森亜土のマンガの世界から飛び出てきたような娘。彼女も俺のことを覚えていたらしく「地下鉄で会ったね」と。香港から来ているとのこと。なんかケナゲなんだんあ。仕事の合間に「鉄道屋」のテーマをピアノで弾いてた(下手くそ)。とても小さな喫茶でふんわりした気分になった。
ちよととだけ宿に帰って休憩して最後のライヴ鑑賞、TONICへ。この店はジョン・ゾーン、アート・リンゼイ、ジョン・ルーリーなどNYのフリー系の巣窟となっている所。この日もご多分に漏れずヘンリー・カイザー、ジム・オルークらのギグ。で、素晴らしいギグだった。フリーキーで、明るくて、自由で、新味があって、閃きがあった。セーマティックな演奏であっても、気まぐれや偶然を楽しむ事を忘れない。皆が一斉に弾いていても、ちゃんと他の音を聴いているからアンバランスにならない。まったく壮快だった。ヘンリー・カイザーのギターも面
白かった。10秒くらいディレイさせてたソロ・プレイ。現在の演奏が未来に具体化する、といった感じ。彼の曲もいい。テーマの部分が短くて曲の自由度がとても高い。3本のギターを使い実に様々なサウンドを響かせていた。ただピッキングがちょっと荒いな、とも。客入りも多く立ち見だったが、疲れも吹っ飛ぶような爽やかな終演だった。J・オルークのちょっと不気味な表情も印象的だった。
帰り昨日行ったカフェOrlinでまた晩飯。今晩は私はパスタ、かみさんはサーモン・サンド。旨かった。「これでまたNYともおさらばかあ」と思いつつ。
宿に帰るとゲイリーとピエールが先に戻っていた。TVでコメディーを観ているらしく二人でゲラゲラ笑っている。明日朝の出発が早いので、ここでみんなに別
れの挨拶。アン、ファン、ピエール、ゲイリー、アンの彼氏、また会う日まで。
2004.1.25〜26
飛行機の関係で早起き。7:00過ぎには宿を出なければならない。こんな時刻当然のようにみんな眠っている。いや犬のファンだけはちょこっと起きてきてサヨナラができた。部屋に鍵を置いてひっそりと宿を出た。気温は-15℃。この強烈な寒さともしばしお別
れ。地下鉄でJFKへ。あとは特になんの話もなく無事帰国した。
