朝いちで世界貿易センター跡地へ。そうあの事件から丁度4年目の今日。飛行機が2棟目にアタックした頃の時間。早朝、しかし当然ながら多くの人達がこの地に来ていた。涙を流す人。合唱を捧げる人達。ただ沈黙して見つめる人達...。私達も合掌。目頭が少し熱くなった。

World Trade Center跡地。追悼式典の最中。
昼間、本当は音楽(フォーレのレクイエム)を聴きに行こうと訪れたSt.Batholomen's
Church。すっかり礼拝に参加する事になってしまった。正直面食らったが、まあ良い経験。キリスト教の浸透圧とは...。
夕方からはボランティア。いよいよ灯籠流し。ハドソン川の埠頭にて。明るいうちに灯籠にメッセージを書いてもらい、それらを組み立て、暗くなってから点火。多くのニューヨーカー達にメッセージを書いてもらった。9・11という事件の重さをひしひしと感。皆とても神聖な気持ちになっている事が手に取るように解る。本願寺和尚らによるセレモニーの後灯籠流しに。

灯籠にメッセージを書いてもらうの図。

灯籠にメッセージを書いてもらうの図その2。

灯の灯った灯籠達。
私は桟橋に降りて灯籠をもって降りてきた人達から、灯籠を引っ張ってくれるカヌーイスト達に渡す役目。なかなか大変。灯籠が流れている間、和尚のお経や、その他違う宗教のお経(コーラン、ラーガ等)が読まれる。マンハッタンの夜景に一筋聳える青い光(WTC跡地から天空に向かって照らされたもの)。川面
には幾筋もの灯籠の幻影。そしてお経。人々の祈り。忙しいながら涙がこぼれた。あまりに美しい時空間だった。


灯籠受け取り役をやっていて、ちょっと面
白かったのが。これが仏教的儀式と知っている人が多いのか、灯籠を受け取っている私に対して、とても有り難そうに手を合わせて、さらには深々と頭を下げていく人が少なく無かったって事。私がスキンヘッドで上から下まで黒装束だったせいで、すっかり坊さんだと勘違いしているのだ。無宗教な私故にとんだインチキ坊主だが、折角だから成りきっておいた。それにしても白人や黒人の人達に深々とお辞儀されるのはなかなか不思議である。

「9・11」で亡くなった方々のために、一度は何かしたいと思い参加したボランティア。素晴らしい体験だった。もし来年もあるのなら又参加してもいいな、と感。何か別
のかたちで(音楽その他で)。打ち上げでカヌーイストの一人があの日の体験を語り、大泣きしていた。実際にNYに居なかった私達には到底知り得ない、深くえぐられた心の傷。その傷にはいまだカサブタさえも出来ていない様だった。
