井桁裕子個展
「人形を探す旅〜面影portrait〜」

2007/6/16〜24 

 会場に入ると、正面に吉本大輔さんをモデルにした作品が目に入ってきます。訪れたお客さんは、その異様な存在感に一瞬たじろぎます。しかし近づいてみると、モデルの内側をえぐりだそうとする造形力に目が離せなくります。
 そして、その特異な造形とは裏腹に、作品全体からは「生命感」というのか「あたたかいもの」を感じます。それは、顔の表情や人形の質感からくるものかもしれませんが、モデルに対する井桁さんの「眼差し」が、作品にも現れているからなのだと思います。それは、最上和子さんをモデルにした作品にも共通して感じらます。
 今回展示された作品は、大まかに三種類にわけられます。1.人物をモデルにしたもの、2.ギリシャ神話の眠りの神「ヒュプノス」を題材にしたもの、3.シュールリアリズム的造形のテラコッタ作品。
 それぞれの作品を個別にみると、同じ作家が創ったものとは思えません。しかし、空間に配置すると、その個別の個性を持った作品が、不思議とひとつの世界をつくっていました。
 ヒュプノス人形の一体は、現在、RAFTに飾られています。RAFTにお立ち寄りの際はぜひご覧ください。

 展示終了後、井桁さんからこんなメールをいただきました。

『私の、「人形を探す旅」は、人形を探すための旅ではない。
人形を探しながら、どこまで旅ができるかということなんだ。
生まれた場所からどのくらい遠くまで行かれるだろうか。

 井桁さんの「旅」はこれからも続きます。

 ※展示期間中、吉本大輔さんによる舞踏公演を行いました。レポートはこちら→http://www.purple.dti.ne.jp/raft/yoshimoto_butoh.html

  

[升形山の鬼]

『舞踏家・吉本大輔さんをモデルに、舞踏のイメージを制作。』

 

[Doble]

『舞踏家・最上和子さんをモデルに制作。06年「Double舞踏+人形」などの公演に使用。』

 

[Doll for Mr.S]

 

[アリア ARIA]

『映画「アリア」坪川拓史監督(「美式天然」05年トリノ国際映画祭でグランプリ・観客賞受賞)の撮影用に制作。モデルは女優の高橋マリ子さん。』

 

[ヒュプノス]

 

[no title]

 

おまけショット

写真家・鬼海弘雄さんによる撮影。撮影時、吉本さん人形をセットアップする井桁さん。

 

映画「アリア」のメイキング撮影。カメラの前で、人形制作の裏側を語る井桁さん。

RAFT