夏・火打山

標高2462m、長野県と新潟県の境にそびえてたっている日本百名山の一つ、火打山。
周りは女らしい山姿の黒姫山、男らしい山姿の妙高山、そして焼山に囲まれています。
登山途中の景色もさることながら、高谷池ヒュッテを越えた辺りからひょいっと現れる池と花畑が
本当に素晴らしく山の上にこんな場所があること自体が不思議な感覚です。
下山した後は、結構足ががくがくしてしまい山はしばらくいいや、と思ったのですが
翌日にはまた登りたいな、と思わせてくれる、そんな山でした。

その火打山の登山口のある笹ヶ峰もお気に入りの場所の一つです。
そこは、シラカバの美しい場所で、晴れた日は白い幹が映え、
霧や雨の日はとても幻想的な雰囲気に包まれ、雪が積もっているときはなんとも
やさしい気持ちになれる、そんな場所です。
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火打山登山口 早春の火打山登山口
火打山登山口 早春の登山口

登山口

 登山口には入山届けの記入場所もあります。最初は綺麗に整備された木道の上を歩いていきます。周りはブナとササが主。林内は明るく、これからの山行がワクワクしてくる感じを誘います。

 しばらく緩やかに登りつつ道を行くと、いよいよ急になってきたな、と思う頃に沢の音がしてきます。





黒沢の橋
黒沢の橋

黒沢

 急登に入る前に大きめの沢があります。唯一飲用できる水場ということで飲んでみたのですが、これがまたすごくおいしくて、暑かったと言うのも理由の一つにあるのかもしれませんが、それを差し引いても大変おいしく、今までいろいろな場所で飲んだ水の中でも、私の中ではピカイチでした。良くこのあたりのことを知っている方が、ここの川の水は飲めるよ、とおっしゃっていましたが、いつまでも飲用できるような美しい川であって欲しいです。みなさんも、一度試しに飲んでみてはいかがでしょうか。

 ここの沢は私が行った時は、ドードーとすごい轟音をたてて流れていました。雪解け水でしょうか。冷たくて気持ちが良かったです。この沢には大木を横に倒したような橋が架けてあり、眼下をゴーゴーと流れる川をみるとちょっと怖い感じもしましたが、山に馴染む橋で味わい深くお気に入りです。しかし、最近コンクリートで出来た橋に変わってしまったようです。安全を考えると仕方ないことかもしれませんが、たまにもう一度あの木の橋を渡ってみたくなります。




山の上の花畑

 黒沢の橋からは、十二曲がりといわれる急登が続きます。結構きつい山道で、途中、何度か休みをとったり風景をみつつ登りました。そして足腰グダグダになった頃に、高谷池ヒュッテが現れます。その景色がまた素晴らしい!!この一言に尽きます。

 ヒュッテの周りは池と高山植物が咲き乱れる花畑がありました。それが天狗の庭。ここまで登ってきて良かった〜、と心から思えるような、そして頂上稼ぎだけが目的の登山がどんなにもったいないことなのかをつくづく感じる、そんな景色が広がっていました。
 季節的には初夏が、ニッコウキスゲやヤマユリなどの沢山の花が咲き乱れ、夢のような世界です。また、ワタスゲの季節や秋の紅葉の時期も大変素晴らしいようです。紅葉の中のワタスゲ。秋にも是非行ってみたいものです。

 山の途中にこんな世界があるなんて、下界にいた時にはもちろんわからず、本当に不思議な天空の花畑でした。山の途中にひそかにある花畑は鳥たちや天狗のような存在にしか知られていなかったのではないかと思わせます。天狗の庭とはよく言ったものです。すっかり山の上の花畑や湿原というものに魅了されてしまいました。

 夢のように美しい高原植物に囲まれた細い木道を歩いていくと、再び登り道になり、火打山の頂上が見えてきます。



火打山頂上
火打山頂上

頂上へ

 花畑やヒュッテから頂上へはまだ距離があり、1泊していく方が多い中、日帰りで行って帰る予定の私はそのまま踏ん張って頂上へ向かいました。

 尾根沿いに歩くので常に頂上が見えているのですが、なかなか辿り着かず時間が長く感じられました。頂上目前にはとどめに足元が比較的悪い、石や岩の道がありますが、そこかしこに可愛らしい花が咲いているので、疲れをだましだまし楽しみながら登れてしまいます。

 頂上は広くはありませんが、みんな思い思いに足を伸ばしたりご飯を食べたりしています。
私たちはお昼を食べたあと、砂利の上に寝転がって昼寝をしてました。じりじりと陽が照りつける中、日光浴の如く寝転がっているのは少し妙だったかもしれませんね。でも、太陽も雲も近く、そして風も心地よく本当に気持ちが良かったです。そこで十分に火打山の頂上を満喫し疲れを癒して、サクサクと下山。



笹ヶ峰雪景色
笹ヶ峰雪景色

下山

 下山途中に景色を眺めたり昆虫や野鳥を観察したりしていたので、すっかり下山に要す予定時間をオーバーしてしまいました。しかも、非常に暑い日だったので配分を間違え水を飲みすぎてしまい、帰りの水が少なくなってしまいました。水場は比較的登山口よりにあるので「沢はまだか〜」と思いながら下っていました。そのことが疲れをより増長させた気がします。このときは水の大切さ、有難さをひしひしと感じました。沢の音が聞こえてきた時には疲れていたのに走り出してしまいました。

 最後のほうは足ががくがくしてしまい、登山口に戻ってきた時には足を放り出して座り込んでしまいました。降りてきた時には、「もう山はしばらくいいかな」と思っていましたが、翌日には筋肉痛と共に「やっぱり山は良いな。また登りたいな。」と思っていることに山の不思議さ、魅力を感じました。



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