2001年2月4日(日)「楽園をください」

RIDE WITH THE DEVIL・1999・米・2時間18分

日本語字幕翻訳:戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク)/dts・ドルビーデジタル・SDDS


1861年のアメリカ中西部。まもなく南北戦争が始まりそうな雰囲気の溢れる中間諸州では、北部か南部かで揺れていた。それはまさに隣人同士が殺し合うなど、悲惨な状況だった。ドイツ系19歳のジェイク・ロデル(トビー・マグワイア)もまた、父が北部寄りなのに自分は友人の影響などもあり南軍に肩入れしていた。

78点

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 こんなに考えさせられる映画というのも、最近ずっとなかった気がする。今までになかった南北戦争映画。それを台湾生まれの監督が作り上げるとは。

 「戦う男は美しい」などというコピーがプログラムにあったが、これはそういう映画ではないと思う。戦いの狂気。正義であろうが狂気であろうが、人を殺すという行為に走るスイッチが入ってしまうと、人は簡単に元に戻れなくなる。戦いの中で殺しが常習化すると、その苦しみから逃れるために襲った町の掠奪が楽しみになってしまう。それはつまり「悪魔と一緒に馬に乗る(Ride with the Devil)」ことになってしまうのだと。簡単に降りることはできない。

 といっても、これは恋があって、少年から大人への成長があって、友情があって、大軍の戦闘シーンがあり、たくさんの銃撃戦があって、やっぱりアクション映画なのだ。それにこんな邦題を付けていいの? 「楽園をください」だって? これじゃ、まるでよくあるヨーロッパ系のアート作品みたいじゃないか。貴族の女性が、王におねだりしているようではないか。違う、違う、もっと線が太くて、書家の大家がぐいっと書いた大きなひと文字のような映画。

 プログラムによれば、監督は「グリーン・デスティニー(Crouching Tiger, Hidden Dragon・1999・中/米/台)」のアン・リーで、アカデミー賞を取るかもしれないというので、日本でも再公開が決まったのだとか。


【ただいま執筆中。少々お待ちください】



 公開2日目の初回、40分前に着いたらすでに開場していた。おっ、すばらしい。ただ、ここは定員入れ替え制なので前売り券があっても窓口で入場券と交換しなければならない。最初は30人くらいだったが、徐々に増えだし最終的に226席の8.5割が埋まった。これはなかなかの好スタートだろう。

 年齢的には、下は小中学から上はジジ、ババまで。これも激しい戦闘場面が多いので、小中学生に見せるには多少抵抗がある。暴力や残酷シーンは幼い心に多大な影響を残すと思う。保護者がしっかりしないと。17歳の犯罪? 親の責任じゃないの? とならないためにも。ボクは幼稚園のころヤクザ映画を見せられて、その乱暴さに大きなショックを受けた記憶がある。

 男女比は3:7で圧倒的に女性が多い。タイトルもアート系の雰囲気だし。その女性も多くはハイティーンから20代前半の若い女性たち。男性は逆に年齢層が高くこれも今の風潮かと。

 初日プレゼントか、「クリムゾン・リバー(LES RIVIERES POURPRES・2000・仏)」と同様のDM用廉価版ビデオをもらった。こちらは6分のメイキングと、アン・リー監督作品の予告編集。これはお得。


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