2001年3月25日(日)「死人の恋わずらい」

2000・アートポート/テレビ東京メディアネット・1時間35分

ビスタ・サイズ/ドルビーステレオ


母子家庭に育ったみどり(後藤理沙)は、転校先の高校で小学校の頃に別れた幼なじみの龍介(松田龍平)と再会する。しかしその直後から辻占に絡む事件が連続し、奇妙なウワサが流れ出す。墓地裏のお堂の前で辻占をやると謎の美少年が現れ取り憑かれるというのだ。

72点

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 松下(パナソニック)が展開しているDVC Pro仕様デジタル・ビデオ・カメラを使用した低予算劇場作品の第2作。第1作は東宝の「弟切草」で、色をいじりすぎたためにDVC Proは画が汚いという逆効果となったが、本作はフィルムと遜色ない高画質を実現している。デジタルからのフィルム起こしは完璧で、それと指摘されなければデジタル・ビデオだとは気付かないだろう。

 原作はいまやモダン・ホラーの旗手の感がある、伊藤潤二の同名漫画。なかなか恐ろしい話で、しかもひねりが利いている。多少無理があるどんでん返しだが、許せる範囲だろうし、これくらいの意外性は必要だと思う。

 この日本的な因縁話をうまく西洋的にまとめ、希望でもって終わらせたのは賢かったような気がする。あまりに日本的に作っていたら、きっと古くさい感じの映画になってしまっていただろう。それを実現した脚本は、ポルノや「ミナミの帝王劇場版」シリーズを手がける友松直之。そして監督の渋谷和行はこれが監督デビュー作だというのだから驚く。よくまとまっている。画作りも手軽なDVとは思えない手堅い画作りで好感が持てる。

 気になったのは、2箇所。辻占に立っていると、どこからともなく白煙(霧?、モヤ?)が流れ出してくるくるのだが、それがデジタルで処理されていること。なぜプラクティカル(実写)でやらなかったんだろう。すべてをコントロールしたかったんだろうか。CGにしたために現実感が薄れ、わざとらしくなってしまった。

 そして、もうひとつ気になったのが、ヤングサンデーからデビューしたという主人公のヒロインを演じる後藤理沙の前髪。ちょうど目にかかりそうな長さで、ボリュームがありすぎて重いのだ。





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 新宿の劇場では初日に舞台挨拶があるというのでパスして、2日目の初回、40分前に着いたら10代と思しき少年がひとりいただけ。20分前にどうにか3人になって、10分前には4人になった。……が、それにしても人気が少ない。結構いい出来なのに。

 最終的に328席に20人ほど。おお、寂しい。なぜ人が来ないんだろ。フィルム撮りじゃないから? 男女比は7:3くらいで断然男の方が多いかった。観客層は20代半分、35以上のオヤジ半分、オバサンぱらりという感じ。

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