2001年6月2日(土)「ザ・ダイバー」

MEN OF HONOR・2000・米・2時8分

日本語字幕翻訳:林 完治/シネスコ・サイズ/ドルビー

アメリカ、ケンタッキー州の小作農の一家に生まれたアフリカ系アメリカ人のカール・ブラシア(キューバ・グッディング・Jr.)は、トルーマン大統領が軍隊における人種差別を撤廃した1948年、父の願い通り家を出て再びもどらないことを誓って、アメリカ海軍に入隊した。しかし、海軍には依然としてあからさまな人種差別が存在し、黒人はコックか雑用か除隊するしかなかった。カールは、船から落ちた兵士を救出するダイバー、マスター・チーフのビリー・サンデー(ロバート・デ・ニーロ)の姿を見て、自分もダイバーを目指そうと決意する。

78点

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 泣けた。感動で、久しぶりに涙が流れそうになった。しかも、これは実話なのだ。

 「タイタンズを忘れない(Remember the Titans・2000・米)」に続く実話人種差別ストーリー。実はこれは黒人だけの話ではなくて、黄色人種であるアジア人も差別の対象だったわけで、人ごとではなかったのだ、つい1970年くらいまでは。いや、現実問題として、第二次世界大戦(特にパールハーバー奇襲)の件もあって、いまだにメモリアル・デイなどには「ジャップお断り」の看板を出すお店なども少なくない。

 差別というのは、アメリカに限らず世界中に存在するし、なかなか無くならない。この映画では、海軍では大統領命令によって1948年に人種差別が撤廃されたが、1968年くらいまで、黒人が海軍でつくことができた職種はコックか雑用係しかなかったと。その障壁を初めてうち破ったのが、本作の主人公で、マスター・ダイバーを目指したカール・ブラシアだったと。

 競演しているマスター・ダイバー役のロバート・デ・ニーロが、唯一、理解を示す上官なのかと思ったら、むしろ逆でかなり意固地な差別主義者役だった。それが、カールのがんばりで次第に態度を軟化させていく過程が面白い。やっぱり名優なんだなあ。

 うまいのは、ただの人種差別の映画にしないで、決して諦めない不屈の精神の話にしていること。これは全世界共通の共感できるテーマだ。エンディングでかかる曲は、それを歌い上げている。「諦めない。倒れても、初めからやり直すだけ。投げ出さない」これだよなあ。ボクもこんなふうに生きたい。そう誰にでも感じさせる秀作だと思う。





【ただいま執筆中。少々お待ちください】



 公開2週目の初回、日比谷の劇場は45分前で10人ほどの行列。中高男性3人、若い男性3人の、若い女性4人という構成。30分前に20人ほどになり、25分前に開場した。

 初回のみ11席×6列の指定席もすべて自由。最終的に648席の3.5割ほどしか埋まらなかった。その半数以上は中高年。いい作品なんだけどなあ。


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