2001年12月1日(土)「アクシデンタル・スパイ」

特務迷城・2001・香・1時49分

日本語字幕翻訳:岡田壮平/シネスコ・サイズ(マスク?)/ドルビー

〈指定〉
トレーニング・マシン店でアルバイトをしているバック(ジャッキー・チェン)は、1958年生まれで孤児院育ちの男性を探しているという父かもしれない男と会うが、すでに末期癌で、全財産を賭けたゲームをしようと言って亡くなってしまう。バックは手がかりの鍵から推理を働かせイスタンブールへ向かうが……。

72点

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 あれ、ゴールデン・ハーベスト製? 確か1999年に倒産したのでは。ということはこれは新生ゴールデン・ハーベスト? 「レジェンド・オブ・ヒーロー(風雲之雄覇天下・1998・香)」が最後だったのでは? 「東京攻略(Tokyo Raides・2000・香)」が復活第1作だったのか?

 そのおかげかどうか、いままでのゴールデン・ハーベスト映画とはちょっと違っている。ほかのインディペンデンス系と似た雰囲気。まあ、ジャッキー・チェンのプロダクションがすべて製作しているんだろうけれど。ジャッキーが育った映画会社だから、恩返しの意味もあったとか。

 いずれにしても、なかなか面白い。間違いなくジャッキー映画だし。そういう意味では安心して見られる作品。ただちょっと違うのは、悲恋というか悲劇を織り込んでいること。ただのアクションだけの映画ではなく、考えさせるところがある。ジャッキーも歳を取ったって事か。

 その悲劇のキーとなるのが、今や日本の女優という感じのビビアン・スー。痩せていて可憐で美しく、白がまたよく似合っているものだから薄幸の少女がピッタリ。白い衣装は薄く、風に儚くなびくものだから、薄幸さがますます強調される。ビビアン、いい役もらったなあ(ロビーでヌード写真集売ってたけど)。これでファンがまた増えたことだろう。全米でもこの12月に公開されるというし。

 面白かった「ゴージャス(玻璃樽・1999・香)」(本作と同じ脚本家アイヴィー・ホーの作品)ではちょっと心配したが、ジャッキーはやっぱり美形好きだったようで、ビビアンのほかにも重要な役でもうひとり美女が登場する。韓国で接近してくる新聞記者カルメン・ウォンを演じているキム・ミンだ。韓国女優も実に美人が多い。

 敵の手先役で出てくる白人は、「ゴージャス」でタイマン張ったカンフーの名人をやった、オーストラリア生まれのブラッドリー・ジェームズ・アランという人。ジャッキーの弟子なのか、ブルース・リーに対するチャック・ノリスみたいなものか。ちょっと注目かも。

 監督はテディ・チャンという人で、金城武が出演した「ダウンタウン・シャドー(・1997・香)」の監督。ボクは見に行こうと思っていたのだが、マイクロ劇場だったのと、上映期間が短かったのとで見逃してしまっている。その後、ビデオも見逃してしまい。本作を見たら、あらためて見たいと思った。この人、なかなかのやり手ではないだろうか。

 いたるところにスパイ映画というか007に対するオマージュが散りばめられている。物語が始まるトルコのイスタンブールは007の「ロシアより愛をこめて(007危機一発・From Russia with Love・1963・英)」で、初めてビビアン・スーと出会うホテルのエレベーターも、たぶん「ロシアより愛をこめて」のエレベーター(そっくり)。ビビアン・スーと待ち合わせる地下用水も「ロシアより愛をこめて」で使われた場所。

 例によって、終了後、NG集が付いている。ジャッキーが手首をくじいたという香港でのエスカーレーターのシーンも、後頭部を打ってスタッフが騒然としたというトルコのトルコ風呂のシーンなどすべて収められている。相変わらず危ない撮影やってるなあ。売り文句じゃないけど、こういうのはハリウッドじゃ撮れないっていうか、香港以外じゃ考えられないでしょ。ジャッキーには、末永くガンバッテもらうためにも、あまりムチャはしないで欲しい。結構いい歳なんだから。

 公開初日の初回、40分前に着いたら、いつも混まない劇場に18人ほどの行列が。やっぱりジャッキーの人気は高い。それも20代が中心で、オヤジは少々。30分前には30人くらいになって、女性も6〜7人に。

 25分前に開場した時点で、指定席のない300席のほぼ半分が埋まってしまった。みんな「ハリポタ」に行ったと思っていたんだけど、ちょっと予想が外れたなあ。でも、なんだか嬉しい。

 最終的には、ほぼ満席。オヤジが増えて、6:4で逆転した。オヤジ強し。


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