2001年12月1日(土)「ハリーポッターと賢者の石」

HARRY POTTER AND PHILOSOPHER'S STONE・2001・米・2時32分

日本語字幕翻訳:戸田奈津子・監修:松田祐介/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dts・SDDS 8ch

〈米PG指定〉
ハリー・ポッター(ダニエル・ランドルフ)は赤ん坊の内に両親に死に別れ、親戚の一家に預けられることになった。そこでハリーは虐げられて育てられたが、11歳の誕生日、ホグワーツ魔法学校から入学の許可が届く。

71点

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 こんな人気作品に、こんなことを書くとどうかしてると思われるだろうが、ボクにはたいして面白くなかった。普通のできの映画ではないだろうか。ただ、長いので、そのぶんボクには退屈に感じられてしまった。子供向けだと思うが、集中力があまり持続しない子供に2時間30分はつらいんじゃないだろうか。

 おそらく、原作を読んでいる人と、読んでいない人では感想が変わってくると思う。ボクは幸いにして、あるいはあいにくか、原作を読んでいない。原作を読んだ人からは、かなり原作に忠実に撮られていると聞く。だから、原作を楽しんで感動した人はそれを追体験できるわけだ。これは楽しいだろう。自分が想像した世界と同じか、それを超えるおとぎの世界が展開するのだから。しかし、読んでいないものには、普通の映画でしかないかも。

 ただ、カッコつけて言えば、世界観の構築というのが実に巧妙で、難なくスッとおとぎの世界に入っていけるのはスゴイ。まったく違和感なく入っていける。「ムーラン・ルージュ」とは対照的だ。

 主役のダニエル・ラドクリフ君は、3,000人から選ばれたそうで、原作を読んでいないボクも適役だったような気がした。実はこの映画の前にも「テイラー・オブ・パナマ(The Tailor of Panama・2000・米)」に出ていたんだそうな。うーん、いたかなあ。

 ハリーを連れにやってくる大男は。ロビー・コルトレーンといって、どこかで見たことあるなあと思っていたら「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ(The World is not Enough・1999・英)」や「007/ゴールデンアイ(Goldeneye・1995・英)」にロシア・エージェントのスゴフスキーで出ていた人。

 なにより良かったのはダンブルドア校長を演じていたサンタクロースのような老人が、あのリチャード・ハリスだったということ。これは驚きだった。リチャード・ハリスと言えば、どちらかというと悪役のイメージで、どこか陰のある役の多い人。本当にそういう人なのかと思っていたら、こんなに柔らかくて、包容力のある役をやれる人だったとは。とっても暖かくって、大きな人だもんなあ。本当はいろんな役がやれるんだ(だから名優な訳だが)。使う側のイメージが固定していたのだろう。彼を校長役にした人は見る目があると思う。

 監督はクリス・コロンバス。1492プロダクションという自分の製作会社を持っている。もちろんコロンブスに引っかけたものにちがいない。もともとは脚本家で「グレムリン」や「グーニーズ」などを書いている。なるほど、本作に通じるとこがいっぱいあるわ。その後、エリザベス・シューがきれいで、しかも面白かった「ベビー・シッター・アドベンチャー(Adventures in Babysitting・1987・米)」で監督デビューし、「ホームアローン2(Home Alone 2・1992・米)」「グッドナイト・ムーン(Stepmom・1998・米)」「アンドリューNDR114(Bicentennial Man・1999・米)」などを撮っている。共通するのは、どれも子供だ。子供が主役でなくても、子供が大きな鍵となる映画なのだ。それで本作になるわけだ。なるほどね。

 特別興行で深夜12時からの公開だったらしいが、正式には朝7時の回から上映(第1週目のみ)。ただし吹き替え版で、字幕版は3回目の回から。1時間15分前に着いたらすでにロビーは70〜80人という行列。なんだって?? 普段映画を見ないヤツが来てるってことだな。

 男女比はほぼ半々で、20代くらいの若い人が多い。1,288席のほぼ全てが埋まってしまった。そうか映画の日で1,000円均一だからかも。案内では全席自由だといっていたが……。

 それにしても、古い劇場なので非常灯が上映中でも暗くならない。これが結構じゃまなのだ。直せないものなんだろうか。

 上映前のCMでソニーのTVヴェガが大スクリーンで流れていたが、2chから5chになると本当に壁から音が流れハッとする驚きがある。テレビのその効果を本当の劇場でアピールするとはねえ。

 また、本編上映直前、この劇場に設置されているのと同じメーカのJBLのデモあり。さらに付け加えると、このプリントはソニーのSDDS 8chステレオでも作られているらしい。ドルビーデジタルのデモがあったことからそれによる上映と思われるが、ボクとしてはSDDS 8chステレオで聞いてみたかった。残念。


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