2001年11月25日(日)「ロード・キラー」

JOY RIDE・2001・米・1時37分

日本語字幕翻訳:林 完治/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビー

〈米R指定〉
バークレー大に通うルイス(ポール・ウォーカー)は車で帰省する途中、高校時代にあこがれていた同級生で今はコロラド大に通うヴェナ(リリー・ソビエンスキー)をピック・アップするため、ボストンを出発するが、母からまた逮捕された兄フラー(スティーブ・ザーン)の保釈金を払って出してやってくれと頼まれる。兄を拾ってコロラドへ向かうが、ちょっとした悪ふざけでCB無線を使って、女の振りをしてトラッカーをだます。それが大変な事態を引き起こすとも知らないで。

71点

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 これは見る前からスピルバーグ監督のTVムービー「激突!(Duel・1972・米)」ではないかと疑っていたのだが、見たらやっぱり「激突!」だった。ちょっと現代風にして、映画らしく予算もかけてたくさんの登場人物を登場させてはいるが、間違いなくこれは「激突!」以外の何ものでもない。どっちが面白いかといえば、やはりスピルバーグ版だろう。本作はホラーという意味ではよくできていると思うが、物語に引き込まれるという点からは比べものにならない。残念だが。

 のめり込めないのは、ひとえに全てのトラブルの原因を作っているチンピラの兄の存在だ。なにしろこいつがバカ。ザル頭で救いようがない。こいつさえいなければ、この事件は起きなかったのだ。この事件の前の、ちょっとしたいざこざさえも。こいつがいなければ、毛の先ほどもトラブルが起きない、そう思えるほど迷惑な存在。

 これは脚本の欠陥だと思う。こんなにイヤらしい男を作ってどうする。犯人よりも憎らしく見えるんだから致命的だ。こちら側の全員にそれぞれ原因があって避けられずにトラブルに巻き込まれるならまだしも、これは自業自得ではないか。兄弟やその彼女まで巻き込むなっての。しかも寝取ろうとするし。

 こんな設定に加えて、日本ではトップに名前が位置しているスティーブン・ザーンという役者が、うまいんだと思うがハマリすぎて、バカさ加減を倍増させている。「ユー・ガット・メール(You've got Mail・1998・米)」をはじめ多くの作品に出演しているようだが、ほとんど印象に残っていない。残念ながら「脇」という印象の俳優だ。

 それより、日本では2番目に名が出ている主役を演じるポール・ウォーカーは、つい最近「ザ・スカル 髑髏の誓い(The Skulls・2000・米)」で道を踏み外していくエリートを好演していたし、「ワイルド・スピード(The Fast and The Furious・2001・米)」で主役のアンダー・カバーの刑事を演じていた人。ちょっとキツメだが二枚目で主役の雰囲気がある人。こっちが先でしょう。

 紅一点は、リリー・ソビエスキー。主役の小さな恋人を演じた「ディープ・インパクト(Deep Impact・1998・米)」変な店の妙に色っぽいロリコン少女を演じた「アイズ・ワイド・シャット(・1999・米)」主人公の同級生を演じた「25年目のキス(Never Been Kissed・1999・米)」などの女の子。大人になったなあ、ってオマエはお父さんか。

 監督はジョン・ダールという人で、ストーリーボード・アシスタントをやっていてヴァル・キルマー夫妻が出演した「もういちど殺して(Kill Me Again・1989・米)」で監督デビューした。その後、とても面白かった「アンフォゲタブル(Unforgettable・1996・米)」、ボクはあまり好きではないが話題になった?「ラウンダーズ(Rounders・1998・米)」も手がけている。

 公開3日目、初回、35分前に着いたというのに誰もいない。あれれ。ウソでしょ。やっぱり予告を見た人はみんな「激突!」のリメイクだと思ったのだろうか。20分前に開場したときでも、たった6人しかいなかった。オヤジが2人に、オバサン1人、20代の若者1人、中年カップルが1組という構成。

 最終的には325席に20人ほどの入り。女性は1/4くらい。1/3が20代。すなわちこの作品も中年以上が多いということ。

 土曜までは下の劇場でやっていたので、ここならいいと思って来たら、日曜から劇場が入れ替わりになって、上の階で上映すると。くそー、下の劇場だと思って見に来たのに。まあ、これが映画の興行ってやつだけど。でも、座席は変わっていなかったけれど、サラウンド・スピーカーがJBLの大型なものに変えられていた。どうやら全スピーカーを取り替え、デジタル音声対応としたらしい。音はクリアで、聞き取りやすかったし、自然な感じを受けた。一歩前進というところか。次はぜひ座席をどうにかして欲しい。


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