2002年3月31日(日)「ビューティフル・マインド」

A Beautiful Mind・2001・米・2時間16分

日本語字幕:写植、下・戸田奈津子/ビスタ・サイズ(ARRI 535)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米PG-13指定)

http://www.uipjapan.com/beautifulmind/
(ここもFlash使いまくり。うーん)


1947年、プリンストン大学大学院に数学の天才ジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)が入学した。彼はMITのウィーラー研究所に入ることを目標にしていたが、プリンストンからは1人しか枠がなかった。学友が次々と論文を提出する中、ナッシュは講義にも出ず、研究に没頭していた。人とのつきあい方がヘタだったナッシュの唯一の理解者は、ルーム・メイトのチャールズ(ポール・ベタニー)だけだった。そして、ある日パブに誘われて、注目の的になっているブロンド美女を見たナッシュはすばらしい理論を思いつく。

82点

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 いやあ、面白い。先が読めそうで、まったくその通りに進まないストーリー展開。実話に基づいているとは言いながら、半分はオリジナルだという脚本が素晴らしい。泣けた。かなり、来た。

 映画的でうまいと思うのは、ただの夫婦愛の映画ではなく、アメリカとロシアの冷戦、暗号と数学、空想と現実、というたくさんの要素を織り交ぜ、巧妙な伏線を張りながらまったく飽きさせないこと。これが何を描きたい映画なのか、どういう映画なのかわかるのは、すべてを見終わった時なのだ。それまでは、スパイ映画のようであったり、恋愛映画のようであったり、青春映画のようであったりする。

 実話の映画化なので、結末はわかっているわけだが、それにもかかわらず展開が読めない、というか読ませない。とても「グリンチ(How the Grinch Stole Chiristmas・2000・米)」のロン・ハワード監督のイメージじゃない。どちらかといえば「アポロ13(Appolo 13・1995・米)」のロン・ハワード監督だろう。

 とにかく素晴らしいのはアキバ・ゴールズマンの脚本。さすがアカデミー賞オリジナル脚本賞だけのことはある。ただ、あの「ロスト・イン・スペース(Lost in Spave・1998・米)」の脚本を書いた人と同一人物とは思えないが。

 あまり細かく書くと、この映画を見た時の衝撃とか、感動が薄れるといけないので避けるが、とにかく現実と夢の境というのは曖昧だということ。突き詰めていくと、寝ている時が夢で、起きているときが現実でいいのか、ということになってくる。白日夢というのがあるし、「マトリックス(Matrix・1999・米)」ではないが夢なのに起きている時のようにリアルなことだってあって、それを夢だと認識できなければ、夢の中で死ぬほど驚いたとすると、ショックで本当に死んでしまうこともあるかもしれない。その瞬間、夢は現実になってしまうわけで……。

 普通には、この夢と現実の区別が付かなくなった人が異常ということになるのだろうが、上のように(例があまりうまくないが)突き詰めていくと夢と現実の区別はとても曖昧になってくる。はたして簡単に異常といってしまって良いのか、そんな疑問もわいてくる。この映画を見ていて、ふとそんな気がした。

 妻を演じるジェニファー・コネリーがいい。「レクイエム・フォー・ドリーム(Requiem for a Dream ・2000・米)」に続いて、役柄を演じきっていると思う。偉そうに言うなら、言い女優になったなあと。彼女ももう32歳だもんなあ。

 公開2日目の初回、60分前ですでに50人ほどの行列。男女比はほぼ半々で、老若比は6対4で、やや年齢層高め。オバサンがちょっと目立つか。

 50分前に開場してくれて、ほっと一息。銀座のこの劇場はいつもはやく開けてくれるので嬉しい。入替制入場はめんどうだけど。

 初回は全席自由で、17席×6列と、ぴあ17席も座ってOK。すぐに100席ほどが埋まった。その後もどんどん増えて、最終的には654席の7.5割が埋まった。男女比はやや女性が増えて、4.5対5.5という感じ。

 音ともクリアだし、サラウンド効果も高い。イスも座りやすく疲れないし、明るく大きなスクリーンだって非常に見やすい。文句なくAクラス。これで、アナログの古い劇場と同じ料金だもんなあ。やっぱり映画は見る劇場を選ばないと。だから、1〜3のどれかで上映なんていうところは、初日に見るときはパスですね。


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