日本語字幕:写植、下・松浦美奈/シネスコ・サイズ(レンズ、70mm上映?)/ドルビー・dts
(米R指定)
ニューヨークのブリッジビュー精神病院に、看護士に重傷を負わせた少女エリザベス(ブリタニー・マーフィー)が転送されてきた。すでに独立した精神科医のネイサン・コンラッド(マイケル・ダグラス)はかつての同僚医師サックス(オリバー・プラット)の要請で、エリザベスの治療に当たることに。そしてその翌日、最愛の一人娘ジェシー(スカイ・マッコール=バートシアク)を誘拐され、エリザベスから6ケタの数字を聞き出さないと娘を殺すと脅される。 |
ハラハラ、ドキドキ。2時間近くを一気に最後まで見せてしまう。家の中は犯人から丸見えで、なのに妻はスキーで足を骨折して動けない。娘はさらわれる、患者は医師をバカにしてろくに口もきいてくれない。はたして、どうやって記憶しているという6ケタの数字を聞き出すのか。サスペンスはいやがおうにも盛り上がる。 実際、わずか1日程度に相手の心の中まで入っていくのは不可能だと思うが、あまりそれを感じさせないところが、演出のうまさというヤツ。さすがは「デンバーに死す時(Things to do in Denver When you're Dead・1995・米)」「コレクター(Kiss the Girls・1997・米)」「クローン(Impostor・2001・米)」の監督ゲイリー・フレダー。派手さはないが堅実な演出で、次第にエスカレートしていくさまは、まさにハリウッドにヒッタリだろう。 とにかく患者になる少女エリザベス役のブリタニー・マーフィーがいい。実にリアルで、等身大の少女。どこかで見たなあと出演リストを探ったら、レイ・リオットが悪徳警官を演じた渋い作品「フェニックス(Phoenix・1998・米)」に出ていた美少女。最初憎らしく、やがて愛おしく見えてくるからうまい証拠。脚本も演出も良いと。 かわいい娘も見覚えがあるなあと思ったら、あのちょっと悲しいしんみり映画「サイダー・ハウス・ルール(The Cider House Rules・1999・米)」に出ていた。あれ同様、小さいながらしっかりした女の子を演じている。 おかしかったのは、マイケル・ダグラスが金持ちの息子が女の子のパンツを盗んで自慰をしていたことでカウンセリングするシーン。そんなことは誰でもあるんだと慰めるのだが、実生活でセックスに溺れてゴシップまき散らしたアンタに言われたくないってなもんだ。これは、あえて入れたネタなのかもしれないが。 妻のファムケ・ヤンセンの設定はまるでヒッチコックの「裏窓(Rear Window・1954・米)」のジェームズ・スチュアート。骨折して動けないところに、敵が迫ってくる。「裏窓」ではのぞきをしていたわけだが、こちらはのぞかれる立場になっている。しかしサスペンスを盛り上げるためのヒッチコック設定だと思う。 女刑事が持っている拳銃は、いまやアメリカの警察を代表するかのような定番のグロック。一方、悪役が持っているのはSIGザウエルのたぶんP228。どちらも説得力がある。ちなみに出てくるノート・パソコンはAppleのPowerbook G3。 公開初日の初回、銀座の劇場は50分前にはすでに30人ほどの行列が。40分前に開場した時には40人ほどになっていた。男女比は4対6で女性の方が多く、オバサンが目立った。これは場所柄か? 年齢的には中高年がほとんど。若い女の子は1割にも満たない感じ。若い男性に至っては2〜3人程度。やれやれ。 初回のみ全席自由で、17席×4列の指定席も、5席のぴあ席もみんな自由。これは嬉しい。並んだ甲斐がある。 時間とともに若い観客も増えだして、最終的に老若比は半々くらいに。男女比も3.5対6.5くらいまでにはなったのではないだろうか。654席に6割ほどの入り。 また関係者らしい一団がいて、感じが悪かった。客の入りが知りたいなら、1人が暗くなる直前に場内に入って確認すれば十分だろうに。気づかれないように、こっそりやって欲しい。 それにしても、ここのコーヒーというかラテはうまい。どこの劇場のコーヒーも、せめてこのレベルまで行ってくれないと。やっぱり持ち込んじゃうなあ。 ちなみにここの料金は一般当日1,800円、大・高生1,500円、中学以下と60歳以上1,000円という設定。音も良いし、スクリーンは大きく明るいし、座席もゆったりでスタジアム形式だから、納得のお値段。古いアナログ館だったら絶対払いたくない。 |