2002年6月8日(土)「模倣犯」

MOHOUHAN・2002・東宝/小学館/博報堂/日本出版販売/毎日新聞社/スポーツニッポン新聞社/TOKYO FM/日本テレビ放送網・2時間04分

ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル

http://mohouhan.yahoo.co.jp/


若いOLの古川鞠子(伊東美咲)が誘拐され、数ヶ月後、公園で腕が発見される。犯人は最新のデジタルのボイスチェンジャーを使い、TVやインターネット、携帯電話などを駆使して、犯行声明を送りつけ、捜査を攪乱する。

72点

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 「ハリー・ポッターと賢者の石(Harry Potter and Philosopher's Stone・2001・米)」では原作を読んでいないことが災いしたが、本作は原作を読んでいないことが幸いしたようだ。どう見ても映画版は、犯人を推理するとか、犯人を追いつめていくというものとは微妙に違う。

 いくつもの視点が重奏し、どれがメインなのか明確ではない。あえて、そうしたのかもしれないが、こういう犯罪ものは群像式の描き方は相応しくない気がした。孫娘を殺された豆腐屋の爺さんなのか、夫を殺される週刊誌のルポ・ライターなのか、犯人なのか、犯人に利用される愚かな男なのか。原作はおそらく主人公がいるのではないかと思うのだが……。もし、そうならば、本作はかなり原作と離れたものになってといることだろう。読んだ人には、許せないかもしれない。

 映画と原作の印象が離れていることはよくあること(「ハリー……」はそっくりだったらしいが)。しかし原作小説は長編のことが多く、映画化を意識して書かれてはいないから、わずか2時間ほどで終わる映画では描ききれなくて当たり前。小説のどの部分をとって、どうやって盛り上げていって、どこをクライマックスに持ってくるのか。小説と映画は違う。

 ソニーのHD24Pデジタル・ビデオ・カメラで全編が撮影されたせいか、カメラがやたら動きまくる。あまりに不安定で、軽いめまいさえ覚えて気分が悪くなる。これも計算のウチなのかもしれないが、デジタル・カメラになって小型軽量化し、取り回しが良くなったために動かしまくったという気がしないでもない。ちょっと眠くなった。

 日本映画にしては珍しくクリアな音声。セリフも聞き取りやすい。HD24PのDVカムのおかげかも。

 公開初日の初回、前売り券が売れているという話を受けて、55分に行ったら劇場前には4人のみ。老夫婦に中学くらいの母娘という組み合わせ。45分前くらいから増えだして、10人くらいに。男女比は4対6で女性が多く、老若比はほぼ半々。

 30分前に開場し、それから次第に若い女性が増えだした。最終的には586席に5割ほどの入り。本当に前売り券が売れてるの? 


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