日本語字幕:手書き、下・石田泰子/ビスタ・サイズ/ドルビー・dts・SDDS
(米PG指定)
1951年、ハリウッドの脚本家のピーター(ジム・キャリー)は、突然、共産主義者だと決めつけられて仕事を失ってしまう。その帰路、小動物を避けようとして自動車ごと川に落ち、流されて小さな町近くの海岸に打ち上げられる。彼を発見して助けた町の人たちは、第二次世界大戦で行方不明になっていたルークと勘違いするが、彼も自己のショックから記憶喪失になっており、町で暮らすことになる。 |
きた。ボクのセンターにドンビシャのストレート。決まってしまった。両目から涙があふれた。久々に恥ずかしい。この優しさ、励まされる感じ、これがフランク・ダラボン監督なのだろう。 ただ、前2作はいずれもスティーブン・キングの原作を映画化したものだったが、本作は親友の脚本家、マイケル・スローンのオリジナル。ここに不安がないわけではなかったが、見て納得。じっくり作品を選んで、じっくり映画化するフランク・ダラボン監督ならではの傑作だと思う。 しかし、アメリカIMDbでは6.7という悪くはないが「セッション9」より0.1ポイント低い評価。ボクが気になったのは、題材の一つに「マッカーシズム」がある点だ。いわゆる「赤狩り(レッド・パージ)」。これがアメリカ人のお気に召さなかったのではないかと。1947年頃から1953年頃にかけて、徹底した共産主義排斥運動が巻き起こった。国務省の職員から始まり、やがてハリウッドにもそれが及ぶ。この時代が背景にある。脚本家出身の彼であり、ハンガリーからの移民である彼としては大きな関心事だったに違いない。 その意味では、「真実の瞬間(Guilty by Suspicion・1991・米)」に非常に似ている。また、追われる男が記憶喪失になるというのも、TVも含め良くある話。映画館を再建するという点では「ニュー・シネマ・パラダイス(Nuoyo Cinema Paradiso・1989・伊仏)」にも似ている。が、いいものはいい。 マジェスティックとは1950年代の映画館だから、往年の名作がどんどん登場する。それを発見するのもまた楽しみのひとつだ。だからあえてタイトルは書かない。どんな映画が登場するのか。テレビなんてあんなちっちゃな箱はダメだと。みんな映画好きなんだろうなあ。 とにかく、「スパイ大作戦」の変装名人、マーチン・ランドーがいい。素晴らしい演技。泣かせてくれる。注文も文句も何もなし。完璧。「ピノキオ(The Adventures of Pinocchio・1996・英/仏/独)」のジョゼッペ爺さんも良かったが、あれ以上。 何かしないではいられないコメディアン、ジム・キャリーも押さえた演技で好感が持てる。見ていると、とても何かやりたそうなのだが、うまいところでこらえているというかカットされている。ということは、フランク・ダラボン監督の勝利か。 だったらジム・キャリーでなくてもいいのでは、という意見もあろうが、見終わでもあるんだろうと思う。カッコよすぎないところが。完全な2枚目では、できすぎたお話になっていかにもの作品になっていたはず。 特筆すべきは、この穏やかで癒し系の架空の田舎町ローソン(ロケはカリフォルニアのファーンデイルという町だそうな)。時代に置き忘れられたかのような佇まいと、静かに流れている時間。もちろん創られたものだが、なんだか雰囲気はアラスカのアンカレッジに(ビルもあって都会だが)似ている気がする。そういう町にいると、自分もピュアになっていくのがわかる。人への思いやりとか、気遣い、感謝なんかが素直にできるようになる。ハリウッドという生き馬の目を抜くような過酷なところで働く脚本家のピーターが、好青年ルークになれるのがよくわかる。人間にとって環境というのは大きなファクターなのだと思う。 劇中劇の「サハラの海賊」というちょっとだけ描かれている映画に出演している人が、エキストラなどではなく、れっきとした役者さんなので驚く。主人公は面白かったコメディ・ホラー「キャプテン・スーパーマーケット(Army of Darkness・1993・米)」のブルース・キャンベルだし、敵役は「トレーニング・デイ(Training Day・2001・米)」とか「インサイダー(The Insider・1999・米)」など話題作に良く出ているクリス・カーティスだ。なんて贅沢な使い方なんだろう。 公開2日目の初回、50分前で新宿の劇場には若者1人。30分前くらいから人が増えだし、20人くらいに。ほとんどは若いカップルで、当然男女比は半々。中年カップルはわずかに2組。いまどきの若い人たちは、こんな地味な映画も観るんだ。ふーん。 20分前に開場し、この時点で30人くらいに。指定席が元々ない劇場で、座席はスタジアム形式で新しく、スクリーンも明るい。デジタル対応で音も良く、客席数は400ほど。意外と混まないので、結構おススメ。 上映前、場内には有名なオールディーズの曲が……。「I'm in Heaven」と唄うあの曲……うーん、思いだせん!! だれか教えて。 |