2002年6月23日(日)「セッション9」

SESSION 9・2001・米・1時間40分

日本語字幕:手書き、下/シネスコ・サイズ/ドルビー・dts・SDDS
(米R指定)

http://www.amuse-pictures.com/session9/


1985年に閉鎖されたタンバース州立精神病院。新しく市庁舎とするため、廃墟の有害物質であるアスベスト(石綿)を除去する作業が1万ドルで発注された。1週間で作業を追えるため、5人の男たちが集まったが、やがて恐ろしい治療の実体が明らかになるとともに男たちの精神状態に異常が現れる。

59点

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 IMDbで6.8の高得点。でもボクはまったくおもしろくなかった。というより、退屈で少し寝た。一言で言えばちょっとアートを気取った「ブレア・ウィッチ・プロジェクト(The Blair Witch Project・1999・米)」と変わらない気がした。とにかく、危険な場所へ入っていき、恐怖に遭遇し、結局それは……。

 本作では、ちゃんと事件は起きるが、たいした違いは感じられない。ほとんどは意味のない思わせぶりの連続。1週間の物語のうち、実際に事件が起きるのは木曜日で、その解決は金曜日。ということは、月から水はほとんど何も起きない。睡眠不足も手伝って、ここで寝てしまったというわけ。

 しかも、絵があまりキレイではない。何かビデオのような画質。絵に深みがなくコントラストも低い。16mmで撮影してデジタルに起こしたとか、デジタルで撮影してフィルムに起こしたとか、とにかく普通の撮影ではないのだろう。最後のクレジットも書いてあったようだがわかりにくかった。HDビデオと合ったような気がしたが、とすればハイビジョンのりビデオ撮影。ところが最後にFOTOKEMというフィルム・ラボの名もあり、だったらこれはなんだ。上映用のフィルムを起こしたということか。

 退屈だったのは、物語の構成が良くないのだと思う。冒頭のフリだけは思わせぶりで興味を引くが、それ以降淡々と何も起こらない。最後の前日に事件が起こって、最後の日に本当に起きたことが提示される。だからどうしたって感じ。これはつまり、思わせぶりな精神病院の過去の治療とか、記録とか、444号の患者の話とか、なくても充分成立するのだ。日本では、ちょっと廃虚の写真集が売れたりとか、話題になっているというだけのことでは。しかしIMDbの評価が高いのだから、ボクの感覚が一般的なものとズレているということも充分あり得る。

 テイストとはインディペンデントという感じなのに、出演者はなかなか。経営が危うい会社の社長を演じるのが、ピーター・ミュランという人。メル・ギブソンの「ブレイブハート()」なんかで存在感をアピールしていた。そしてその相棒がなんと、かなりエキセントリックなデビッド・カルーソ。最近では「プルーフ・オブ・ライフ(Proof of Life・2000・米)」でクセのあるいい人を演じていたが、それよりは「ボディ・カウント(Body Count・1998・米)」のチンピラが最高に良かった(IMDbじゃ5.4と低い評価だが)。こういう人が出ているんだからなあ。

 公開2日目の3回目、45分前に着いたらロビーに5〜6人。全員20代の男女。予想どおり。オヤジとしては、いっしょにいるのがちょっと恥ずかしい。35分前くらいに増えだして、15〜16人に。30分前に列を作らされ、15分前に入替になったときは224席の2.5割ほどしか埋まらなかったが……なんと5分前にはほぼ満席。なんだ、この混み方は。どこかの雑誌で誉めたのか。やっぱり廃虚ブームか。


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