2002年7月21日(日)「SPY_N」

日本語字幕:写植下、風間綾平/シネスコ・サイズ(レンズ、パナビジョン)/ドルビーデジタル
(香IIB指定)

http://www.SPY-N.jp/


中国の地方都市で権勢を誇るマー(シウミン・ラウ)は日本から取引相手としてノリカ(藤原紀香)を招き商談を進めていた。しかし、甥のトニー(マーク・ダカスコス)は中国で麻薬を取り扱うため、反対するマーに内緒でアメリカからディーラーのクーリエ(クーリエ)を招いて勝手に取引を進めていた。そして、上海の特別警察官ダレン(アーロン・クォック)とアレックス(ワン・リーホン)が彼らを追っていた。

70点

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 なぜか2年前の作品がようやく大々的に公開された。これは藤原紀香が日韓親善大使に選ばれて、ワールド・カップで注目されたということと関係あるんだろうか。

 ズバリ言ってしまうと、この映画にノリカは必要なかった気がする。いなくても十分この映画は成立し、その方が映画が締まったような気がする。監督が大ファンだからなのか、ノリカは特別扱いで、一人だけ「カメラ目線」「ピン撮り」。しかしこれが逆効果になっている。この状態でのセリフ回しはやっぱり不自然で浮いていて、まるでノリカが大根にしか見えない。出番が少ないのにもかかわらず。もちろんサービス・カットも用意されているのだけれど。

 ちゃんと必然性のある役で、ラスト・シーン以外でもしっかりがんばっていたとしたなら、香港映画で株も上がっていたかもしれない。「バレット・オブ・ラブ(不死情謎・2001・香)」の瀬戸朝香のように。「バレット……」はアメリカでも評価が高い。IMDbでも高得点を得ている。「無問題(我是大丈夫・1999・香/日)」(2は無問題どころか問題外だったが)の岡村隆史も同様で、あの辺を狙ったのだろう。でも特別扱いじゃダメなのだ。2人のようにどっぷり漬かって徹底的に関わって撮らなければ。

 ラスト、高層ビル建設現場の最上階近くで、つり下げられたガラスの上でのシーソー・アクションはスゴイ。凄いがしかし、あれってやっぱりCGよる合成なんじゃ……。「ノー・スタント」なんてTVコマーシャルしていたようだが、確かに藤原紀香はガラスに乗っていたのだろう。ブルー・バックの合成用スタジオで。スタントは使っていない。けれどCG合成を使っていないとは言っていない……。本当はどうなんだろう。

 映画で使われたセットだとして出てくる紫禁城のミニチュアみたいな宮殿は、ひょっとしてチェン・カイコー監督の「始皇帝暗殺(荊軻刺秦王・1998・中仏米日)」始皇帝が住んでいた「咸陽宮」じゃないだろうか。ラストの戦いを演じたプールのような部分がそっくりなのだが。

 監督はスタンリー・トンという人。これまでにあのおもしろハラハラ映画「ポリス・ストーリー3(警察故事III: 超級警察・1992・香)」や、「レッド・ブロンクス(紅蕃區・1995・香)」「ファイナル・プロジェクト(警察故事4之簡單任務・1996・香)」なんかを撮った人。もうすでにハリウッド・デビューしているそうだ。深夜テレビでやっていたサモ・ハン・キンポーの「LA大捜査線/マーシャネル・ロー(Martial Law・1998〜・米)」の製作総指揮を務めたのもこの人。

 公開2日目の初回、50分前で3人のオジサマが。15分前くらいになってようやく開場した時点で20人くらい。ほとんどオジサンとオバサンで、女性は老若を含めても4〜5人。

 渋谷の374席の劇場には指定席があって、中央の2列、9席+7席+ぴあ2席が指定。でもこれだけ空いていると、指定席に意味なんかあるのだろうか。最終的に374席に30人くらい。女性は7人。8割が中高年。うーむ、紀香ファンは見に来ていないようだ。

 ラスト、スタッフ・ロールの画面になってお約束のNG集が。バイクで前の車に乗り移るシーン、本当にやっていたんですね。危ない、危ない。


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