2002年8月3日(土)「ピンポン」

2002・アスミック・エースエンターテインメント/小学館/TBS/BS-i/ IMAGICA/日本出版販売・1時間54分

日本語字幕:写植、下/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル

http://www.pingpong-movie.com/


ペコこと星野裕(窪塚洋介)は、幼なじみのスマイルこと月本誠(ARATA)と同じ片瀬高校に入学し卓球部に入部した。実力で1年からインターハイに出場したものの、中国からの留学生チャイナこと孔文革(サム・リー)や、同じく幼なじみの海王学園・卓球部のアクマこと佐久間学(大倉孝二)やその先輩のドラゴンこと風間竜一(中村獅童)ら強豪選手にあっさりと負けてしまう。

73点

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 正当派スポコン物語。今どきのセリフ回し、今どきのさめた視点とかを取り入れながらも、テーマ的にはとても古くさい、スポーツ根性ものの王道のような作りになっている。感動的だし、かなり楽しめる。ただ、こんなに話題になって、毎回行列ができるほどユニークな映画というほどではないと思う。完成度は高いし、とてもおもしろい映画だと思うけれど、この大人気の理由がよくわからない。どこかの雑誌で誉められたのか。

 たぶん1つの理由は、出演者。かなり原作のイメージに近いのも受け入れられた理由だろう。映画的にするために、わざとキャラクターを変えてしまうなんてことも、よくあることだから。でも、この映画は違うと。

 今もっとも旬な役者、窪塚洋介。そして「卓球なんて死ぬまでの暇つぶしだよ」という冷めたクールな役柄がピッタリのARATA。サム・リーも大倉孝二も、中村獅童もいい演技をしている。そしてこれまたスポ根に欠かせない伝説の選手、コーチのバタフライジョー(この名前はやっぱりラケットメーカー、タマスのブランドなんだろうなあ)を演じる竹中直人、主人公をシゴいてくれる謎の卓球場のおばば、「千と千尋の神隠し(2001・日)」の湯婆婆(今回もばばだ)の声を当てた夏木マリ。みんなピッタリはまっている。

 今の若者を等身大でリアルに描いた脚本は、宮藤官九郎。日本アカデミー賞の最優秀脚本賞を受賞した「GO」の脚本家。演出家、役者、TVの構成作家としても活躍中と言うから、すばらしい才能の持ち主。今っぽさと古くさいテーマを融合させるのがうまい。

 原作は小学館のピッグ・コミック・スピリッツに連載された漫画家・松本大洋の同名作。コミック版も出版されていて、どうやらインターハイをめぐる5人の物語という形になっているらしい。ボクはまだ読んでいないので何ともいえないのだが、若い観客はみな原作を読んでいたのではないだろうか。ボクもこの映画を見て、原作を読みたくなった。

 監督はジェームズ・キャメロン監督の「タイタニック」にCGアーティストとして参加した曽利文彦。日本では有名作のVFXスーパーバイザーをつとめており、本作が長編映画デビュー作なんだそうな。しかし、この手堅い演出はとても初作品とは思えない。ベテランの手腕。CGが立ちすぎていない、というか気づかないくらいの加減がすばらしい。やっぱりアーティストと呼ぶにふさわしい人なのだろう。

 第3週目の初回、40分前についたらすでに26〜27人ほどの人が並んでいる。男女比は3.5対6.5といった感じで、女性の方がちょっと多い。窪塚効果だろうか。年齢的には下は中学生くらいから中高までと幅広いものの、中心は中学生か高校生にかけての若い人たち。

 35分前になって40人くらいの列になり、32分前くらいに開場となった。あまりに暑いので助かったが、もっと早くあけてくれてもいいのに。さらに、もぎりのところで当日券の販売と、全日の整理券配布もやっているものだから、なかなか場内に入ることができない。ちょっとシステムを考え直したほうがいいと思う。

 10分前に218席の85%ほどが埋まった。オヤジ、オバサンは全体の2割ほど。最終的にはほぼ満席になった。スゴイ。

 それにしても、9時25分から上映が始まり、最終回は23時15分までなんと6回も上映している。入場客が多いので、限られた期間の間に観客をさばくため、異例の措置なのではないか。

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