日本語字幕:手書き下、石田泰子/シネスコ・サイズ(マスク、パナビジョン)/ドルビーデジタル
(米R指定)
1988年10月2日の夜、高校生のドニー・ダーコ(ジェイク・ギレンホール)はメタリックなウサギのお面をつけた着ぐるみに導かれて外へ出る。ウサギは世界の滅亡まであと28日だと教えられる。翌日、ドニーはゴルフ場で目を覚まし、帰宅してみると自分の家の自分の部屋に、飛行機のジェット・エンジンが落下して大破している。そしてそれをきっかけに、毎日、自分だけに見えるウサギが現れるようになる。 |
27歳の新人監督、リチャード・ケリーが書いた脚本に、いまやプロデューサーも兼ねるようになったドリュー・バリモアが惚れ込んで自ら製作総指揮と出演も買って出たという本作。確かにいかにも映画らしい奇想天外な話で、どうなるのかと思っていると最後の最後でどんでん返し、大逆転してみせる。それはスゴイと思うが、この暗い感じ、やるせない気持ちが涌いてくるのは、どうにも後味が悪い。最近の傾向なのか、晴れ晴れとしない映画が多いような気がする。この不景気なご時世、どちらかといえば元気が出て、すっきりとした映画が見たいと思うのだが。もちろんパッピー・エンドということではなくて、バッド・エンドでも後味の良い、希望の感じられるものだってあるでしょう、という。 でも悪くはない。多くの解釈が可能なように作られているのだと思う。ボクが考えられるだけでも3つのパターンがある。1つは、すべては実際に起こったことで映画を見たままというパターン。 もう1つは、すべては主人公の頭の中だけで起こっていたことで、最後の最後のことだけが現実に起こったことというパターン。 そして、もう1つ。実際はラストの一瞬だけのできごとで、それまでは最後の瞬間に人が見るという人生のフラッシュバックのようなものではないかというパターン。 ほかにも、まだまだいろんな解釈のパターンが可能な映画だと思う。もちろん監督としては1つのパターンがあって作っているには違いない。そうでないと1つのまとまった作品に仕上げられないし、役者もどう演じて良いかわからなくなってしまうだろう。ただ、1つの解釈しか成り立たず、その考えを押しつけるようにはしたくなかったのではないだろうか。そんな感じのする映画だ。 主役のジェイク・ギレンホールは、傑作青春映画「遠い空の向こうに(October Sky・1999・米)」で実在のNASAエンジニア、ホーマー・ヒッカムを演じた彼。 相手役の女子高生役は、「グッドナイト・ムーン(Stepmom・1998・米)」で先妻スーザン・サランドンの娘を演じていたジェナ・マローン。当時からかわいい子だったが、最近の「海辺の家(Life As a House・2001・米)」ではセクシーな大人というかハイ・ティーンに成長していて驚いた。なんだか、いい女優になりそうな予感。要注目。 歳をとってしまったパトリック・スウェイジが怪しげな人物を演じているのも注目だ。この役では老いた感じがあまりしなかったから、やっぱり撮り方と、役の設定もあるのだろう。もう激しいアクションを演じるのは……。「ブラック・ドッグ(Black Dog・1998・米)」や「ボイスレター(Letter From A Killer・1998・米)」以後どうしたかと思っていたら、こんなところにって感じ。 「驚いた」で言えば、あの美女、「明日に向かって撃て!(Butch Cassidy and The Sundance Kid・1969・米)」でボクの憧れだったキャサリン・ロスが出ていることに驚いた。しかもあんなにおばあちゃんになってしまって……。しわだらけのグローブみたい、ああ、ごめんなさい。 公開2週目の初回、日曜日は初回が1,000円なのだそうで、前売りを買ったボクとしてはなんだか損をした雰囲気。割引にするのは最終回にして欲しい。席確保のためには朝一に行くのが一番良いわけで、それを割引されると混んでかなわない。 45分前についたら、誰もいない。ところが42分前にはもう10人に。下は中学生から上は老人までいたが、中心はだいたい20代後半から30代の人たち。男女比はほぼ半々。新宿の劇場は豪華なイスが売りだったが、どうも大きすぎてスクリーンが見にくくなる。 30分前に開場し、15分前には指定席なしの224席の7割が埋まり、最終的には9.5割が埋まった。細長い劇場なので、後ろの席はかなりスクリーンが小さく見えると思うが。 |