日本語字幕:写植、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(ARRI)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(英12、米PG-13指定)
父親が生前に大ヒットさせたたった1曲のクリスマス・ソングのおかげで、まったく働く必要のないウィル(ヒュー・グラント)は、38歳で独身生活を謳歌していた。ブランド物のファツション、高級美容室、アウディTT、フェンダーのギター……そしてナンパ。ウィルは後腐れのない相手としてシングル・マザーを狙うことを思いつき、シングル・ペアレントの会に参加する。 |
うーん、話としては悪くないし、そこそこの感動はある。しかしあまりにスケールというか話に広がりがなく、こぢんまりしているので何かTVドラマを見ているような感じ。なぜ、これを映画化したんだろうか。映画の大予算でなければ描けないことなどないと思うが。 確かにTVではヒュー・グラントは使えないだろうが、配役以外は充分TVで成立する。ラストの盛り上がりも、リアルなんだろうが、映画としては地味で物足りない感じがする。せいぜいTVのスペシャル枠というところか。 話の構成はよくできている。空疎な人生を送る38歳の独身男と、12歳の母子家庭のいじめられっ子の人生が対比される。そしてその2人の人生が交差することで、お互いに影響をし合って人生が、生き方か少し良い方へ変わっていく。大変化ではない。ちょっとした変化。ここがリアリズムなのだろう。ただ、コメディ・タッチになっているんだから、もう少しファンタジー色が強くても良かったのに。 ストレートに描いてしまえば、とても暗くなる設定ではある。微妙にコメディを持ち込んだことでそうならずにすんでいる。ハリウッドではよく使う手で、「海辺の家(Life as a House・2001・米)」も同様。しかしバランスが難しくて、なかなかうまくはいかないもの。それがこれではうまくいっている。 監督と脚本はイギリス人の芸能人一家に生まれた兄弟。コーエン兄弟、ウォシャウスキー兄弟と同様の兄弟コンビ。前作が評判の良くなかった「天国から来たチャンピオン2002(Down to Earth・2001・米)」なので不安があったが、「アメリカン・パイ(American Pie・1999・米)」は未見ながら評判は良かったようで見る気になったわけ。どうやら作風はコメディ系のようだ。多少、「ブリジット・ジョーンズの日記(Bridgit Jones's Diary・2001・英)」のフィルムメーカーが……という宣伝文句にちょっと心動かされたことも事実だけど。 実意のところ、「ブリジット……」の英プロダクション、ワーキング・タイトルと、米のロバート・デ・ニーロの製作会社、トライベッカが組んで製作に当たったらしい。2社が組まなければならないほどの大作かという気もするが。というより、配給の問題か。 公開初日の初回、新宿の劇場は40分前でオヤジが1人。35分前になってちょっと増えだして12人くらい。男女比は4対6で女性の方が多い。女性は20代の若い人が多く、男性はだいたいオヤジ。カップルが2〜3組。 30分前に開場したときでもファミリーが1組増えたくらいで15人程度。あれれ、ヒュー・グラントで、CMあんなにやってて、この入りかね。10分前でも30人ほど。中高年カップルが少し増えて、でも40人止まり。おお、人気なし。これは初日とは思えない寂しさ。久々の不入り。でもこの地味さじゃしようがないか。 |