2002年9月28日(土)「ジャスティス」

HART'S WAR・2001・米・2時間05分

日本語字幕:手書き下、菊池浩司/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビー・dts・SDDS
(米R指定)

http://www.justice-movie.com

 
第二次世界大戦中の1944年、ヨーロッパ戦線。ずっと第5軍団司令部詰めで実戦経験のない上院議員の息子であるハート中尉(コリン・ファレル)は、司令部に来たある将校を部隊までジープで送っていく途中、ドイツ軍に遭遇して捕虜となる。アウグスブルク収容所に入れられると、捕虜の最上級士官、マクナマラ大佐(ブルース・ウィリス)によって下士官収容棟に入れられ、たまたま収容所内で発生した殺人事件の弁護士を無理矢理やらされることになる。

72点

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 結構重苦しいドラマがずっと続いて、いろんな人がそれぞれに自分のできる範囲で、国のために最善を尽くそうと頑張るわけだが、最後の最後でいいところをすべてブルース・ウィリスがかっさらって、ほかの出演者が呆然と立ちつくす、という映画。

 最初から、ブルース・ウィリスは感じの悪い、どちらかといえば独裁者のような悪役として登場し、ラスト近くまでよくこんな役で出たなあ、と思っていたら、そういうオチだったのね。でも、後ろ姿などスタンド・イン(代役)で、似た人を使っているのだろうが、一目でばれる。せめて危険じゃないときくらい自分で演じればいいのに、大スターになると顔が写らないとカメラの前に立たないのか。いやいや、かなり前からこの人はスタンド・インを多用していたっけ。銃を撃つときでさえ、銃で顔が隠れてしまわないように、顔の傾きを変えて構える人だからなあ。まあ、それによって独特のスタイルを作り上げているわけだが。

 なんだか「プライベート・ライアン(Saving Private Ryan・1998・米)」のヒット以降、第二次世界大戦ものが増えたような気がするのだが、これもその1本か。「ウィンドトーカーズ(Windtalkers・2002・米)」っていうのもあったなあ。

 1950年代から1960年代にかけて、映画に勢いのあった頃はよく第二次世界大戦モノが作られていた。もちろん終戦から5年とか10年とかしかたっていないわけだから、車両や装備を揃えやすく、ロケ地も当時の名残をとどめたところが多かったと。ところが時代を経るに従って、撮影時用件はどんどん悪くなっていくわけで、当然だんだん作られなくなっていく。しかし、数が少なくなった分、予算と時間をかけてじっくり作るようになったので、むしろ時代考証は正確になってきている。

 で、本作もそういう1本かと思いきや、物語はほとんど捕虜収容所内で展開するため、軍装品の準備もほとんど入らない。もちろん軍用車両も収容所内には必要ない。せいぜいドイツ軍の銃器くらいか。

 とはいえ、冒頭のジープで送っていって襲われるシーンは、すばらしい緊張感。テンポもよく、このシークェンスの最後がまた怖い。この調子で全部撮っていたら、カッコイイものになっていたかも。それくらい導入部はいい。拷問のような尋問から調子が変わり、暗い陰気な雰囲気になってくる。これって、ホントに1人の監督が撮ったの?

 その監督はグレゴリー・ホブリットというTV出身の人で、映画はどんでん返し法廷劇「真実の行方(Primal Fear・1996・米)」や、乗り移る魂という興味深いテーマのスリラー「悪魔を憐れむ歌(Fallen・1997・米)」、時空を越えた感動推理モノ「オーロラの彼方へ(Frequency・2000・米)」など、凝った作品を作り続けている。そう考えると、もっとおもしろい作品になったような気もする。

 ということは、ブルース・ウィリスが最後の最後で台無しにしてしまったってことはないかなあ。

 公開初日の初回、55分前についたらたった4人。もうブルース・ウィリスではお客さんを呼べないのか。45分前になったら10人ほどになったが、このうち女性はたった二人。若い女性と、オバサンと。若い男性も少なく、2〜3人しかいなかった。やっぱり第二次世界大戦ものは、中高というより老が多い。60歳以上はシニア料金1,000円だし。

 35分前から増えだして、25分前二に開場したときには50〜60人になっていた。あらら。3/5は老人で白髪が目立つ。オバサンが2.5割ほど。

 なぜか初日初回から指定席があって、10席×4列が左右で80席+ぴあ20席は。結局最後まですっからかん。終了まで誰も座らずあいたまま。いったい何の意味があったんだろう。

 最終的に新宿の1,288席の劇場は、4.5割ほどの入りだった。ちょっと寂しいかも。


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