日本語字幕翻訳:手書き下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、Panavision)/ドルビー・dts
〈米PG-13指定〉
2054年、ワシントンD.C.では増加する犯罪に対処するため、予知能力を持った3人の超能力者を使った犯罪予知により取締りで、犯罪数の激減を実現していた。これに目をつけた司法省から、システムの調査にダニー・ウィットワー(コリン・ファレル)が派遣されてくる。そんなとき、犯罪予防局のチーフ、ジョン・アンダートン(トム・クルーズ)が36時間以内に殺人を犯すと予知されてしまう。
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上映館があまりに酷すぎて、本作の印象まで悪くなってしまった。本来はもっと高い評価をしてもいいのかもしれないが‥‥。 原作は「プレード・ランナー(Blade Runner・1982・米)」「トータル・リコール(Toatal Recall・1990・米)」のSF小説家フィリップ・K・ディック。2作は監督が違うので雰囲気も違うが、本作はどちらかといえば前者に近い。ただタッチはドキュメンタリーで「プライベート・ライアン」風。浅い色と、速いシャッター。スピルバーグ監督は現実味を持ったSFとして無描きたかったのかもしれない。相対に位置するヒッチコック風の巧妙に仕組まれたサスペンス、作られた芝居が、随所に散りばめられているとしても。 SFに欠かせない未来の世界観もちゃんと構築されており、交通システムが驚きのビジュアル・インパクトを与えてくれる。ただ、そのほとんどがTVCMで繰り返し流されたものなので、新鮮味には欠ける。この辺どうなんだろう。CMにはインパクトが必要だし、かと言って見せ過ぎれば劇場でがっかりさせてしまうし。商売と割り切って考えると、劇場に来させることがCMの使命であり、足を運ばせれば成功であとはどうなろうと知ったことではない。ガッカリしようがどうしようが、すでにお金は払ってしまっているのだから。って、本当にこれでいいの? CMが「オオカミ少年」になってしまわないか。長い目手で見るとそれで客足が遠のいていないか? ここの犯罪予防局の警官が使う銃はベレッタのエルゴノミック・デザイン(って言うか銃としてはちょっとどうかなっていうデザイン)のM9000。このところ徐々にスクリーンに登場しはじめている。まあ確かに未来っぽいかもしれない。 音響がなかなかすばらしい。パトカー(エアカー)の音が左の壁から聞こえてきたりと、アナログ音声上映会でもこうなのだから、EX6.1上映の劇場はどんなにすばらしかったことか。考えるだけでもうらやましく、自分のドジに腹が立つ。 最初「マイノリティー・リポート」というのは、少数民族のことを主人公が調査して報告書でも書くのかなと思っていたのだが、全く違った。これは劇中、真ん中あたりで明かされる。そうか、そういう意味だったんだ。なかなか納得できる内容。 最近の映画らしく、タイアップがいっぱい。未来カーはトヨタのレクサスだったり、コンピュータはデルだったり……今度のボンド映画などそれが満載だそうだが。のちのちテレビ放映やDVD発売があるところまで考えると、かなりの巨額を払ってでも使ってもらうのはいい宣伝になると思う。 それにしても、ハリウッドって日本人の名前にヤカモトなんてのを使うんだろうか。よく耳にする名前だ。でもどんな感じをあてるの? サカモトとかのつもりなんだろうか。うーん、意味不明。 司法省の役人として現れるのは、ブルース・ウィリスええかっこしー映画「ジャスティス(Hart's War・2001・米)」で主役を演じていたコリン・ファレル。前作のまっすぐな若者の役とは一転して、今回はなんだかいやらしくも怪しい役。さすが役者と言うところ。 よくわからなかったのは、女性に存在感がないこと。別居している奥さんは白い顔で、ちょっと中性的な印象だし、あえて言えばブスではないが美人ではなく、もう一つ魅力的でもない。また超能力者の女性は坊主頭で、グラマーでもないから、ボディ・スーツのようなものを身に付けていてもほとんど女を感じさせない。普通の女性は、かえって年老いたこのシステムを作った研究者だったりする。あえて演出しているのだろうが、ボクの頭ではいまひとつ意図はつかめなかった。 前売り券に刷られている劇場とは違った劇場での公開。売る時にはこの劇場でしか見られませんが、いいですねとまるで脅しのように言って売ったくせに。とにかく失敗。あまりに早く前売り券を買ったものだから、まさかドルビーEX6.1で上映するとは分からなかった。おまけのバッチにすっかりだまされた。 アナログ上映館だけあって、新宿の中劇場は公開初日の初回75分前、誰もいない。あれだけTV-CMを打ってこれはおかしいぞと思ったのだが、そんなに差があるとは思いもしなかった。60分前でようやく7人。中学から20代前半までの男性のみ。女性がいないとは。 30分前に開場になったが、この時点でさえあらたに30代くらいの女性が2人ほど加わって10人になった程度。70mm大劇場で見たかった。混んでいただろうけど。料金同じだからなあ。 最終的に、全席自由の406席にたった30人ほど。ガラガラだったので前の席の人の頭などまったく気にならずに見ることはできた。 ラジオで初日プレゼントとしてトム・クルーズの生写真をくれると言っていたが、初日の一番に並んだにも関わらず、もらえず。全国で30,000人のはずだが、大劇場のみなのか。ただ、見終わって出る時には、おばさんが何か配っていたようだから、初回は忘れたのかもしれない。ひどい劇場だ。名前を出したいところだが、営業妨害になるといけないので我慢しておく。初日プレゼントを渡し忘れたのみならず、客席内が寒かったこと。当日はかなり冷え込んだので、これは辛かった。にもかかわらず、終わってロビーに出たら、暖房ガンガンに効いている。ということは、従業員のいるところだけ暖かくしているってこと? 本当にひどい劇場だ。かってに上映館も変えちゃうし。客には変えられないと強要しながら。これだと点数が厳しいのもしようがないと思うでしょ? |