日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ/ドルビー・dts ES
“ヴァイヨン”チームはラリー選手権でライバル・チーム、“リーダー”の妨害によりドライバーのひとりを失ってしまう。そしてチームはル・マン24時間耐久レースに出場することになるが、“リーダー”チームも参戦することになりメイン・ドライバーは宿敵ボブ(フランソワ・ルヴァンタル)に決定した。“ヴァイヨン”チームのメイン・ドライバー、ミシェル・ヴァイヨン(サガモール・ステヴナン)はチームメイトの無念をはらすためにも優勝を誓うが……。 |
腹が立った。なんだ、これは。お金と時間、手間はかかっていると思うが、汚い言葉を許してもらえるなら「原作とファックして良かったか」っていう感じ。もっと言えば「原作をレイプして良かったかよ」と。ボクは原作を知らないが、こんな単調な、ゆるゆるの脚本&演出では、フランスで大人気という原作を汚しているとしか思えない。 CGを使わず、すべて実際に撮影した映像が売りだということだったが、映画の善し悪しにCGか実写かは関係ない。ようするに観客に伝えたいことがちゃんと伝わるかどうか。主人公の気持ちが共有できるかどうか。映画を見ている間、その世界に没入できるか……そんな事だと思う。CGを使わないことはなんの売りにもならない。ジャッキーのアクションがCGではないというのとはわけが違う。しかもジャッキーはわざわざ「CGじゃない」などとは言っていないわけで。ということは、この映画はそこしか売りがないということか……。でもチョウチョの合成はCGIではなくてもCG合成だと思うけど。あ、レース・シーンは、か。 本当にル・マンで撮影したかどうかも関係ない。ストーリーはちゃんと観客に伝わっているのか。スピードがもっとずっと遅い「スティール」(RIDERS・2002・英/仏/加)のカー・スタント・シーンのほうがよっぽど迫力もスピード感もあって良かったと思う。 とにかく脚本も、演出も、編集も感心しない。設定にも無理があるし、その展開もご都合主義。ところどころシネスコの横長画面を生かした美しい絵も見せるが、それだけ。CGを使わない実写というのも特に印象に残らないし、それほど迫力もなく、平凡。 冒頭、役者の口の動きと音声があわず(吹替え? アフレコ?)気になる。普通、多少のずれがあっても、映画に没入していくうちに気にならなくなるもの。ところが、まったく映画にのめり込めないので、これが最後まで気になってしょうがなかった。 ボクはル・マンというか自動車レースのルールをよく知らないのだけれど、途中で登録されている以外のレーサーが運転したらチームは失格にならないのだろうか。また、それで勝ったとしても、本当に勝ったことになるのか。いくら汚い相手でも、自分たちまで汚いことをして勝ってそれで勝ったことになるのか。満足できるのか。こんなのはカー・レースと呼べないのではないだろうか。 眠気と格闘し、何度も気を失いながら、どうにか最後まで見た。いくらリュック・ベッソン印でも……。1960年代の映画界のように、粗製乱造で評価を落としてきているような気がしてならない。今後(というか、すでに何本か前から)リュック・ベッソン印は要注意ということか……。 公開7日目、初回、銀座の劇場は早朝(?)9時30分からの回は35分前に着いたら、オヤジがひとりだけ。25日くらいまでは本当にル・マンに出場した証のレースカーが展示してあったらしいが、それもなし(短いよ、ケチ)。ますます失速ということか。 30分前に開場し、この時点で自分も含めオヤジ2人の老人1人のたった3人。でも雪の降った寒い朝だったので、助かった。中は暖房が効いていてあったかい。15分前でもわずかに8人。若い男女1組に、若い女性1人。それ以外はオヤジという構成。見る前だったのでこの不人気が意外だったが、後から考えるとこの不人気もしょうがないと思う。 6席×4列あるプレミアム・シートには、オヤジがひとり。たぶん見終わって後悔したことだろう。最終的には612席にたった17人。これもしようがないだろう。 |