ノシロナオコ「そこにある身体シリーズ」vol.5

滑川由夏(彫刻)×ノシロナオコ(ダンス)
FORM-RW ー意識を旅するカタチー


 「そこにある身体シリーズ」は、コンテンポラリーダンサー・振付家のノシロナオコが、様々なジャンルのアーティストと共同作業を行う企画です。vol.5のコラボレーターは彫刻家・滑川由夏さんです。
 滑川さんは、人体をなめらかで抽象的なフォルムとして造形します。滑川さんの手によって掘り出された人体には、不思議な温もりと、静かな存在感が漂っています。それらの彫刻と生身の人間が向き合うとき、密やかな緊張関係が空間に生まれます。観る者の記憶や意識が彫刻のフォルムに反映され、生じる緊張感・・・・。
今回は、彫刻家の意識、そしてダンサーの意識、二つの意識を往来した「カタチ」に注目しました。二名のアーティストの、ときに拮抗し、ときに重なり合う「意識」と「カタチ」。そこから立ち現れる「身体の記憶」。ぜひご覧ください。

[ノシロからのイントロダクション]
 滑川さんの彫刻の第一印象は、「限り無く抽象化された具象」でした。ディテールを削ぎ落とした本質の輪郭のようでありながら、ブラックホールのようにあらゆるものを吸い込んだ茫洋とした物体にも見えます。その不思議な形は、何を訴えるでもなく、何かを訴えているかのようで、結局のところ見る者の意識を反映し、その潜在意識を呼び覚ますように感じられました。その形は、どこからどのようにして生まれ、何を表わそうとしているのか。そこで私は「形」に関するコラボレーションを滑川さんに提案しました。


[コラボメモ]
 まず始めに、ノシロは身体に表出する形について考えました。無意識の姿勢や動きの起源を探る時、それは過去の経験や主観的な記憶に辿り着くこともあれば、どうしても思い当たる理由が見つからないこともあります。後者の場合は、それを潜在意識と呼ぶことが出来るかも知れないと思いました。そこで「個人的な身体の記憶」と「潜在する身体の動き」、この二つの観点から起こした身体の動きを映像に記録しました。その映像ソースから、滑川はまずそこに顕在する形と向き合うことになります。そして自らの意識を通して潜在するカタチを探ります。ノシロと滑川の二人の潜在意識が交錯し、滑川の手によって再び顕在化した形がRAFTの空間に立ち現れた時、ノシロの身体を通して再び新たな意識の旅が始まります。


2007年12月7日(金)〜9日(日)

7日(金)20:00
8日(土)20:00
9日(日)15:00
開場は開演の30分前


◎ノシロナオコプロフィール


振付家/ダンサー。主宰ユニット<NOsense>でのパフォーマンス創作を経て、2002年に福原哲郎の<東京スペースダンス>に参加。同年よりインディペンデントの振付家/ダンサーとして始動、国内外で活動中。『主体と客観を行き来する身体』と『環
境と身体のインタラクション』を追求。ソロ作品“trans-mission”は「イスタンブール・ダンス・フェスティバル2007」で好評を得る。http://www.ne.jp/asahi/no/sense/

◎滑川由夏プロフィール


美術家。最近までは「深く変容する知覚」を軸としたテーマで制作。2005年にUNESCOの助成によりフランスのアーティスト・イン・レジデンスで3ヶ月滞在制作・発表する。2007年より新たなテーマ「情報操作」で作品構想・展開開始。http://www.k5.dion.ne.jp/~y.name/


※コラボレーターに関して
一般より応募も受付けておりますが、特に「公募選出」等の記載が無い限り、全て主催者側からのオファーによって実現しました。
vol.1 池田光宏さん らふと推薦
vol.2 スティーブン・チョドリュスキーさん NOsense推薦
vol.3 一ノ瀬響さん NOsense推薦
vol.4 田中敏恵さん NOsense推薦
vol.5 滑川由夏さん らふと推薦

vol.1,vol.2の記録はこちらで→vol.1 vol.2


VOICES

徹底的に実験的・挑戦的な結果を期待                             飯名尚人(Dance and Media Japan)
 「そもそもコラボレーションとは何か?」という僕の質問に、ノシロナオコは「作品を客観視するためのひとつの方法」と答えた。映像作家、音楽家、建築家、彫刻家など、ダンスの周辺を取り囲むメディアとの1対1のコラボレーションは勇気のいる作業だ。彫刻家は彫刻の言葉で話し、ダンサーはダンスの言葉で話す。お互いが共通の言葉の意味を見出し、あるいはあえて見出さず、自分を客観視できたときに、きっとコラボレーションの答えが見えてくるのかもしれない。1対1、なにがなんでも全6回実施する、というこの企画は、シンプルだが逃げ場がない。僕は、このコラボシリーズに、出来上がった作品のエンタテインメント的面白さやお客さんの数ではなく、徹底的に実験的・挑戦的な結果を期待している。

とんでもない“ダンス”を黙々とつくるノシロナオコさんとは何者か?       塚田美紀(世田谷美術館学芸員)
 よつんばいの変な生き物がのっそり袖から出てきた。それがそのままのそのそと、舞台を対角線上に進む。2年ほど前に初めて観たノシロさんは、何とも妙な存在感を漂わせるミニマリストだった。気になり続け、縁あって今夏、世田谷美術館の身体表現ワークショップ・シリーズにゲスト講師としてお招きした。参加者に「いいね」「素敵だね」との言葉を一切かけず、大人も子どももただ各自が各自の身体に耳を傾けるよう、ノシロさんは淡々とワークショップを進める。あまりの潔さに唖然、だが流れる時間の静けさと濃密さはすばらしいものだった。その数週間後のコラボ企画。ノシロさんは音楽家のつくった譜面をダンス言語に翻訳したという。どんなものかと思えば、音をひとつひとつ、手で作るサインにひとつひとつ変換し続けているビデオ映像。真っ暗な空間に白い両の手が開いたり閉じたり閉じたり開いたり閉じたり。魔術的なまでの催眠効果、なのだがなぜか深い眠りに落ちることは許さない、脳の奥に深々と刻印される映像。こんなとんでもない“ダンス” を黙々とつくるノシロナオコさんとは何者か?目撃者になることをお勧めします。


TICKET (全席自由席)お席に限りがございます。あらかじめのご予約をおすすめします。
【各回】前売・予約¥2,300/当日2,500/らふと会員¥2,000


会場 オルタナティブスペースRAFT(中野区中野1-4-4 1F)

◎JR線・大江戸線 「東中野駅」下車西口・徒歩13分
◎丸の内線・大江戸線 「中野坂上駅」下車A2出口・徒歩10分
◎JR線「中野駅」からバスの場合 南口下車、京王バス(2番のり場)渋谷駅行き(渋64)「中野一丁目」にて下車(バス乗車時間約5分)
◎JR線「新宿駅」からバスの場合 西口出口、京王バスターミナル(15番のり場)野方行き「中野一丁目」にて下車(バス乗車時間約15分)徒歩スグ・東中野駅から約1.0km・中野坂上駅から約0.8km


主催・お問い合わせ NPO法人らふと
TEL/FAX 03-3365-0307 〒164-0001 東京都中野区中野1-4-4 1F
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