2001年11月24日(土)「ポワゾン」

ORIGINAL SIN・2001・米・1時56分

日本語字幕翻訳:稲田瑳裕里/シネスコ・サイズ(マスク)/dts・SDDS

〈米R指定、日本R-18指定(18禁)〉
19世紀後半、キューバのサンチャゴでコーヒー農園を経営するルイス(アントニオ・バンデラス)は、文通で知り合った誠実で子供が産めるという条件に合致した白人女性、ジュリアと結婚しようとしていた。しかし、港に現れたジュリア(アンジェリーナ・ジョリー)は写真と全く違う女性だった。

74点

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 「娼婦には惚れるな」ひとことで言うとそういう映画だ。「パール・ハーバー(Pearl Harbor・2001・米)」もそういう映画だったし、「ムーラン・ルージュ!(Moulin Rouge!・2001・豪/米)」も同じ。彼女たちは商売で愛があるように見せているのだから、それを信じてはいけないと。

 R-18指定なので、「ナイン・ハーフ(Nine 1/2 Weeks・1985・米)」のようにエロティックなラブ・ストーリーとして売られているようだが、この程度のエロさでどこがR-18? 全然エロくないじゃん。期待して損した。それよりも物語は娼婦と純な男の物語。ダマしダマされてその先は? ってことでしょう。

 原作はウィリアム・アイリッシュのサスペンス「暗闇のワルツ」。実は、本作より先に映画評論家から映画監督になったという変わり種、フランスのフランソワ・トリュフォーが映画化しているという。日本語タイトルは「暗くなるまでこの恋を(La Sirene Du Mississippi・1969・仏)」。つまり本作はリメイクなんですね。ちょっとトリュフォー版に興味が……。

 監督はマイケル・クリストファーという人で、ブロードウェイの芝居でピュリッツァ賞を受賞しているのだとか。映画はロバート・デ・ニーロの「恋に落ちて(Falling in Love・1984・米)」や3人の女が強力だった「イーストウィックの魔女たち(The Wiches of Eastwick・1987・米)」、ブルース・ウィリスの「虚栄のかがり火(・1990・米)」などの脚本を手がけた人。そう思って見ると、本作を手堅くまとめているのは当然というところだろう。

 特に妻が失踪してからが面白いが、すっかり先が読めてしまうところが惜しい。何か物足りなく感じてしまうのだ。ミステリーならもっとミスガイダンスをうまく使って、観客を欺いて欲しかった。気持ちよくだまされたなら、いい映画になっていただろうに。

 ラストの曲がジワーっと心に染みてくるが、グロリア・エステファンがこの映画のために書き下ろしたオリジナルだそうだ。“You Can't Walk Away From Love”いい曲です。

 ところで、冒頭の日本語字幕、作家の渡辺淳一のシャトン・ルージュからの言葉が出るが、あれは何だったんだろう。何の関係があるのか。アメリカの上映でも英文字幕でこの言葉が出たんだろうか。うーん、わからん。

 公開2日目、初回、50分前に着いたら、先に2人が。18禁だったせいか人が少ない。20分前に開場したとき、どうにか30人。男女比は半々、年齢層は20代後半以上から老人まで。老若比も半々ほどか。年齢にかかわらずカップルが多い。

 最終的に1,044席に1割半ほど。結構さみしい。指定席は12席×5列にぴあ席が5席あったが、初回は全席自由。

 それにしても、ついに新宿のこの劇場も飲食物持ち込み禁止に。ブルータス、オマエもか。なんかセコイなあ。


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