2002年6月15日(土)「ザ・プロフェッショナル」

HEIST・2001・加/米・1時間47分

日本語字幕:手書き、下・関 冬美/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米R指定)

http://www.theprofessional.jp/


誰も傷つけず、鮮やかな手口で金品を強奪する犯罪プロフェッショナルのチーム。彼らのリーダー、ジョー(ジーン・ハックマン)は、ちょっとした手違いから防犯カメラに顔を撮られ、高飛びの準備を始めるが、故買屋のボス、バーグマン(ダニー・デヴィート)はそれを許さず、スイスの金塊を奪えと脅してくる。

74点

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 傑作「スパニッシュ・プリズナー(The Spanish Prisoner・1997・米)」と非常に似た雰囲気。だまし、だまされて、どれが一体本当の話で本心なのか、観客までもがだまされる。どんでん返しに次ぐどんでん返し。いやー、ハラハラ、ドキドキ、楽しめる。だいたい、ジーン・ハックマンが出た映画でダメなのは「エネミー・ライン(Behinde Enemy Lines・2001・米)」くらいで、あとはほとんど面白いものばかり。この人が出ていたらまずハズレはない。

 ただ、後味はあまり良くない。これはたぶん、シーン・ハックマンの奥さんフラン(マメット夫人のレベッカ・ピジョン)の設定だと思う。これで良かったのかなあ。映画を見ていない人のために具体的には書かないが、ここがこの映画の印象を決めてしまっているような気がする。「スパニッシュ……」の方が優れていた……。

 といいつつ、どちらも監督はデヴィット・マメット。雰囲気が同じで当然。こちらがやや劣るのは、先の紅一点の設定と、あまりに多いどんでん返しで、本筋までもが疑わしくなってしまうところではないだろうか。観客にはマメット監督というかこの映画が、狼が来たぞの「狼少年」に見えてしまうのだ。

 ピューリッツァ賞受賞、2度のアカデミー賞脚本賞ノミネートという輝かしい経歴を持つマメットが監督したせいか、配役が豪華。ジーン・ハックマンに、相棒が「サイダーハウス・ルール(The Cider House Rules・1999・米)」の酷い父親を演じたデルロイ・リンドー、故買屋のボスに最近プロデューサーとしても大活躍中の「ロマンシング・ストーン(Romancing The Stone・1984・米)」のダニー・デヴィート、その甥のチンピラに傑作SFコメディ「ギャラクシー・クエスト(Galaxy Quest・1999)」のサム・ロックウェルという具合。

 細かいことだが、冒頭の強盗シーン前、ニューヨークの喫茶店の壁にポスターが貼ってあって、日本語で「ようこそニューヨークへ」などと書かれていた。それだけ日本人観光客が多いということなんだろう。

 銃撃戦も用意されていて、ちょっとマニアックなベレッタM93Rとか、ルガー・ミニ14、FNのベビー・ブローニング(旧型M1906)など、最近あまり見かけなくなった銃を見ることができる。監督の好みなのだろうか。

 公開初日の2回目、50分ほど前に着いたらロビーにはたったの2〜3人。35分前くらいになって列を作らされた時点で、20人ほどになっていた。渋好みの映画なのか、高齢者が目立つ。女性は若い人もチラホラいるようだが、それでも2割程度。20分前に入替になり、その時点で銀座の劇場の183席は8割ほどが埋まった。

 その後もちょぼちょぼ増え続け、最終的にほぼ満席の9.5割ほどが埋まった。老若比は7対3で高齢者が圧倒的に多い。また、女性は全体の2割ほどと変わらず、ぴあ席が2席あった。

 小さなスクリーンのミニ・シアターだが、スクリーンの見え具合も良く、イスもゆったりしていて、音響も素晴らしい。


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