2002年11月10日(日)「セレンディピティ」

SERENDIPITY・2001・米・1時31分

日本語字幕翻訳:手書き下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(CSCカメラ)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

〈米PG-13〉

http://www.serendipity.jp/

クリスマスのプレゼント購入でごった返すデパートで、サラ(ケイト・ベッキンセール)とジョナサン(ジョン・キューザック)は1つの黒いカシミアの手袋を同時に手に取る。お互い惹かれるものを感じたが、それぞれにボーイ・フレンド、ガール・フレンドがいたことから、もし運命なら再び出会うことができるはずと、フルネームも電話番号も教えずに分かれてしまう。数年後、2人はそれぞれに結婚を控えていたが、どうしてもあの出会いを忘れることができなかった。

74点

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 ついにケイト・ベッキンセールもまともないい役が回ってきたようだ。これまでに「プロークン・パレス(Brokedown Palace・1999・米)」の友人を裏切る卑怯な役とか、話題にだけはなった「パール・ハーバー(Pearl Harbor・2001・米)」で二股をかける娼婦の役とか、とにかく酷い役が多かった人。ものすごい美人なのに、そのために印象が悪くとても損をしている。もうちょっと続けたら、悪女の烙印を押されるところだったが、これでどうにか普通の女優に近づいたかもしれない。

 つまり、これはクリスマスに(恋人と一緒に)見たい、心温まる素敵なラブ・ストーリーに仕上がっている。良い。よくあるイギリス人女性とアメリカ人青年の恋。大甘な映画だが、おとぎ話、ファンタジーなんだからこれでいいじゃないか。そう思わせるところがうまい。

 ケイト・ベッキンセールの相手役を務めるのは、人のいい好青年といった感じのジョン・キューザック。そういう役が多く、メロドラマ系の作品が多いため自ずとボクが見る作品とは疎遠になってしまう。変わったところでボクが見たものは「マルコヴィッチの穴(Being John Malkovich・1999・米)」が最後かなあ。「シン・レッド・ライン(The Thin Red Line・1998・米)」にも出ていたけど。作品に恵まれていないとか、そういうことではない。たまたたまボクがあまり見ないジャンルの作品によく出ているというだけのこと。

 監督のピーター・チェルサムという人は、予告だけで涙の「マイ・フレンド・メモリー(The Mighty・1998・米)」で一気に有名になった。ただ、あまりヒット作には恵まれておらず、はたしてうまいのかヘタなのか、よくわからない。

 とすれば、お手柄は脚本か。マーク・クラインはどうやら本作が脚本家としての本格デビューらしい。「あなたが寝てる間に…(While You Were Sleeoing・1995・米 )」ではジョン・タートルトーブ監督の助手を務めていたという。なんとなく2作の間には関連性があるような気がするが。

 セレンディピティ(Serendipity)というのはニューヨークに実在するカフェで、正しくは「セレンディピティ3」という。トム・クルーズやジュリア・ロバーツらセレブのお気に入りなのだとか。意味は「幸せな偶然」(劇中ではフォーチュン・アクシデントと言っていた)。

 ちなみに、ジョン・キューザックの婚約者を演じているのは、「トータル・フィアーズ(The Sum of All Fears・2002・米)」でベン・アフリックの恋人の女医を演じていた人で、ブリジット・モインハンという人。あの傑作「コヨーテ・アグリー(Coyote Ugly・2000・米)」にも出ていたらしい。

 公開2日目の2回目、35分前、銀座の劇場は30人くらいが列を作っていた。場所柄かほとんどカップルで、若い人ばかり。オヤジは少々。15分前に入れ替えになって中へ。最終的に756席におよそ3割の入り。この回で、この入りはちょっと少ない感じ。世知辛いご時世に、いい話だと思うんだが、ケイト・ベッキンセールのいままでのイメージが悪すぎたのか、宣伝が少ないのか。ほかの「今年一番のラブストーリー(こう謳って良かったためしがない)」なんてのよりは良いと思うが。

  男女比は6.5対3.5で女性が多かった。10席×7列もあった指定席には結局、中高年らしきカップルが4組、8席あったぴあ席に2人という感じ。ちょっと辛いぞ。



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