日本語字幕翻訳:手書き下、太田直子/シネスコ・サイズ(マスク、Panavision、 ARRI)/ドルビーデジタル
〈英15指定、米R指定〉
イギリスの田舎町に住む銀行マンのジョン・バッキンガム(ベン・チャップリン)はインターネットでロシア人妻の申し込みをする。そしてやってきたのは、記載されていた条件と違って、全く英語の話せないナディア(ニコール・キッドマン)だった。ジョンは仲介会社に連絡を取りキャンセルしようとするが、連絡が取れない。しようがなく2人は一緒に暮らし始めるが……。 |
良くある美人局(つつもたせ)の話。だますつもりが情が移り……という話。過去何度も作られてきた話だ。しかし、それを今ホットな話題であるインターネット、貧しさを逃れるためのロシア人妻輸出(?)で味付けをし、説得力のあるニコール・キッドマンとベン・チャップリンが演じると、それなりの映画ができると。 まずイギリス人の目立たない銀行マンを演じるベン・チャップリンがいい。まじめ一徹なのに、10年つとめても昇進もできず、ボロ車に乗り、彼女もおらず、HビデオとH本が友達。ロシア人女性には美人が多いというし、そんな彼のような男の元へニコール・キッドマンのような美人が嫁いできたら、人生も狂ってしまうだろう。そこにとても説得力があるのだ。この話は、ベン・チャップリンが実直な男に見えなければまったく成立しない。だから配役の時点ですでに成功したようなものだろう。 ベン・チャップリンは最近では、本作と似たような性格付けの警察官を演じた「完全犯罪クラブ(Murder by Numbers ・2002・米)」(実際には本作の方が先に撮られている)があり、万引き事件のウィノナ・ライダーが主演したオカルト・ホラーの「ロスト・ソウルズ(Lost Souls・2000・米)」なんかに出ている。もともとはTVの人なのだが、1995年頃から映画が多くなっている。しかし、なんだか存在感のある人で、メジャーになったのは「シン・レッド・ライン(The Thin Red Line・1998・米)」以降なのに、すでに大物俳優の風格を備えている。 しかも、あのあえぎ声。かつてメグ・ライアンが「恋人たちの予感(When Harry Met Sally...・1989・米)」でダイナーであえぎ声をあげて見せたけど、あれに匹敵するすごさ。やっぱり名優の器? ロシアからやってくる英語のわからないアブナイ男に、「ドーベルマン(Dobermann・1997・仏)」「クリムゾン・リバー 深紅の衝撃(Les Rivieres Poupres・2000・仏)」「ジェヴォーダンの獣(Le Pacte Des Loups・2001・仏)」「ジャンヌ・ダルク(The Messenger: The Story of Joan of Arc・1999・仏)」などのフランス生まれのパリジャンが凶悪のロシア人を演じているのだ。相棒を演じるマチュヘ・カソビッツも「アメリ(Le Fabuleux Destin D'amelie Poulain・2001・仏)」や「フィフス・エレメント(The Fifth Element・1997・仏米)」に出ている生粋のフランス生まれ、パリジャンだけど。 まあニコール・キッドマン(アメリカ生まれのオーストラリア育ち)がロシア人妻だから不思議はないのだが、それにしてもみんなロシア語がうまい。かなりの部分をペラペラしゃべっている。役者というのは、こういうものなんだろう。すばらしい。 監督はジェズ・バターワーズ。1969年のイギリスはロンドン生まれというから弱冠33歳。この作品の前に「Mojo(未)(1997・英)」があるだけで、ほとんど新人。脚本も自身で書いているので、脚本のできが良かったために名だたる俳優さんたちが出演してくれたのかもしれない。 公開初日の初回、たかをくくって35分前に着いたらすでに開場していた。10人ほどの人がいて、4人が女性。1人だけ20代らしかったが、あとは当然、中高年。すでに場内にはクリスマス・ソングが流れている。早いなあ。 銀座のこの劇場は、、どこにすわってもスクリーンが見にくいという古い劇場で、皆できるだけ離れて座っているが、あとから来た人が前の席に座ったりするので、あちこちで移動する人が多い。ここは早く来て席を取っても前に座高の高い人とか、アフロ・ヘアの人とか(いるか今時?)、帽子をかぶった人とかが座るとアウト。これで同じ料金だからなあ。サウンドもこれでデジタル対応?って感じだし。しかも指定席が2つ。おいおい、この劇場で意味あるのか。どこに座って同じだぞ。せめて座席だけでも、今のものでいいから千鳥配列にしたらどうだろう。 最終的に306席に4.5割ほどの入り。男女比は4対6で女性の方が多く、白髪の老人が半分くらいで、20代は1/5いたかどうかというところ。 |