日本語字幕:手書き書体、下、風間綾平/1.85ビスタサイズ(ARRI、HDTV:Sony HDW-F900, Fujinon Lenses)/ドルビーデジタル、dts(IMDbではdts ESとドルビーEX6.1)
(米PG指定)
1939年、ドイツから飛行船ヒンデンブルク号に乗ってニューヨークにやってきた1人の科学者が失踪した。事件を追う女性記者のポリー(グウィネス・パルトロー)が取材に向かうと、謎の巨大ロボット集団が襲ってきた。すぐにスカイ・キャプテン(ジュード・ロウ)に救援が要請され、彼の活躍によって被害は最小限にとどめられた。しかし、安心したのもつかの間、すぐに別の科学者が襲われる。 |
CG環境と人間の演技を付け合わせたデジタル劇画。あの悲しくなる映画「ゴッド・ディーバ」(Immortel Ad Vitam・2004・仏)と似たようなコンセブトで、色もいじりまくり。ただ、こちらはもう少しポリシーがあって、昔の映画の雰囲気と、劇画タッチを狙ったらしいことはわかる。ちょっと見にくいし、せっかくの美しいグウィネス・パルトローの金髪がほとんど生きていないが。 ストーリーは突っ込みどころ満載。この荒唐無稽さを楽しむか、ノレないか、評価はそこで分かれると思う。ボクは楽しむつもりで見ていたのだが、最初の巨大ロボットニューヨーク襲撃シーンであれだけたくさんの敵をたった1人で止めてしまうあたりからノレなくなってきてて、ブルー・スクリーンで演じているゆえなのだろうが、まったく気の入っていないグウィネス・パルトローの走り方を見て、付いて行くのを諦めた。悪くはないが……良くもないかも。単に本作は、笑えないがコメディだから許される?とか。 もちろん演技力うんぬんもあるだろうし、演技指導というか演出の問題もあるだろう。しかしブルー・スクリーンでなんでも撮るというのが、一番の問題点だろう。走りのシーンも追われている緊迫感が全くないし、距離に制限があったのだろう、その場で足踏みしたのを走ったことにしたような不自然さがある。昔はよくあったが、それがまだあるとは。 1939年の設定に、空飛ぶ巨大ロボットや、空中空母、空中から水中まで完璧に行き来できる乗り物、光線銃……などがあってもいいだろう。たぶんそれらはSF小説や映画などでその頃に考え出されたものだろうから。しかし、そういった未来的な(レトロフューチャーな)兵器が違和感なく登場する一方で、旧来の兵器と当たり前に共存し……というより明らかに優れているのに圧倒できないというのが納得できない。あまりに技術力が違い過ぎるのに。 とても飛ぶように思えない形のロボットを飛ばす高度な技術を持ちながら、主人公のカスタム化した(?)とはいえ、零戦に苦戦したというカーチスP-40(1939年から量産の新鋭機)に歯も立たないのだ。 それと、どこかで見たようなシーンがいっぱい。「スター・ウォーズ」のようだったり、「ロード・オブ・ザ・リング」のようだつたり、TVのスーパーマリオネットの「キャプテン・スカーレット」のようだったり……。それらに敬意を表するというよりは、好きなシーンを真似たという感じがちょっと残念。ただ、タイトルのレトロな雰囲気は素晴らしい。かつてあった映画会社RKOのオープニングのような雰囲気はうまく使われている。本編中もアンテナから電波が出る感じはRKOそのまま。 それと気になったのは記者のグウィネスが使う35mmのコンパクト・カメラ。あれはなんだろう。ライカか……。 主人公が使っていた銃は、前半はなぜかイギリスのリボルバー、ウェブリーかエンフィールド。後半はガバメントになるが。ニューヨークの街で巨大ロボット達に発砲する銃はトンプソンM1928サブマシンガン。 音響効果は素晴らしい。6.1で上映されたとは思えないが、確かに横から音が聞こえたりした。6.1だったらどんなに凄かったのか、ちょっと損をした感じも。 公開初日の初回、新宿の中劇場は40分前で0人。あれれ、ジュード・ロウってあんまり人気ないンだっけ? まあ確かに女性はあんまり見ない種類の映画だろうけど。30分くらい前になったら徐々に増え出し、それでも10人くらい。8割はオヤジ。あと若い男性とオバサン。 25分前に開場し、指定席なしの場内へ。初日プレゼントがあって、胴体と羽根だけの2枚の板からなる昔駄菓子屋さんで売っていたようなヒコーキ(「ソフトグライダー」。なぜかゼロ戦の52型)をもらった。絵の感じ小松崎茂さんの絵のようで、とても懐かしい。昔は厚紙だったけど最近は発泡スチロールになり、プラスチックのプロペラまで付いている。でも大人はこれで遊ばないよなと思いいつつ、ありがたくちょうだいした。 最終的には406席に2.5割ほどの入り。男女比は9対1くらいで、ほとんどはオヤジさま世代。若い人が見たら逆に新鮮な監視時はすると思うが、あまりにケン・コンラン監督自身による脚本がずさん過ぎないかい。 |