2021年2月20日(土)「マーメイド・イン・パリ」

UNE SIRE`NE A PARIS・2020・仏・1時間42分

日本語字幕:丸ゴシック体下、安本煕生/シネスコ・サイズ(表記なし)/音響表記なし

監督・原案:マチアス・マルジウ
脚本:マチアス・マルジウ、
   ステファヌ・ランドフスキ
撮影:ヴィルジニー・サン=マルタン
出演:ニコラ・デュヴォシェル、
   マリリン・リマ、
   ロッシ・デ・パルマ、
   チェッキー・カリョ、ほか

公式サイト
http://mermaidinparis.jp
(全国の劇場リストもあり)

雨が続くパリ。夜、美しい歌声を聞いて、突然死する事件が頻発する中、カミーユ(チェッキー・カリョ)が経営する船のレストランの階下にある会員専用のナイト・クラブ『フラワー・バーガー』で歌手として生計を立てているカミーユの息子、独身40代のガスパール(ニコラ・デュヴォシェル)は、ある夜、セーヌ川の川岸に倒れている人魚を発見する。そしてすぐ病院へ連れて行くが、男性医師が倒れたりして大騒ぎとなり、しかたなく怪我したヒレを治療するため自宅へ連れ帰ることに。するとルラと名乗った人魚(マリリン・リマ)は、ガスパールも殺そうと歌を歌うが、すでに失恋で心を閉ざしてしまっていたガスパールにはまったく効果がなかった。


71点

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 大人のおとぎ話、ファンタジーということになるのだろうけれど、そこはヨーロッパ映画というかフランス映画、リアルな設定も盛り込んでいて、ディズニー的な展開にはならない。しかも小さなエピソードが不足というか希薄で、感情が伝わって来にくい。一番大切な主人公と人魚の恋の感じがイマイチ。そのためラストの感動が薄い。もったいないというか、残念というか。あるいは『本当は恐いグリム童話』的物語。「セイレーン」とか「ローレライ」とかの人間をたぶらかす人魚伝説的物語でもあるような。アンデルセンの『人魚姫』とはだいぶ違う。

 冒頭のアバンで、飛び出す絵本から始まるのはまさにおとぎ話を象徴しているのだろう。それが粘土(クレイ)アニメになって、実写へと変わる。それはうまいと思うけど、主人公が40のおっさんというのも一般的には厳しいかも。キャラも人形とかオモチャ好きで子供の頃の心をなくしていない感じながら、見た目はちょっと神経質そうで、明るさが不足気味。隣の世話好きオバサンも、味が濃すぎる感じ。アクが強いというか、クセが強い。

 そしてどうも時代設定が今ではないような。多くの人がタバコを吸っているし(ドクターまで!)、パソコンとかケータイが出てこないし、家で映画を見るのにVHSのビデオ・デッキを使っているし……。公式サイトを見ても時代設定については書かれていない。IMDbのトリビアでは2016年のパリで、セーヌ川にかかるアレクサンドル3世橋が水没しそうになった直後と解説されている。それで人魚が打ち上げられたのか! ちゃんと映画の中で描いて欲しいなあ。愛の南京錠の橋「ポン・デ・ザール橋」も出てくる。

 最後の方で出てきた折り紙の風車って、どういう意味だったのだろう。日本的な感じがしたが。そして、冒頭からいたカツラらしい真っ赤な髪の女は何だったんだろう。あれだけ映しておいて何の説明もないとは。

 誰が来ても、まず保険証を要求する病院の受け付け嬢には笑ったけど。

 公開10日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日はアナウンスがなく、7〜8分前に入場口に行ったら開場済み。スクリーンはビスタで開いており、すでにCMというか予告が始まっていた。観客層はやはり中高年で、最初5人いて女性は1人。その後若めの女性も来て、最終的には127席に12人ほど。女性は半分の6人。まっ10日目だし、朝一だし、この内容だとこんなものか。

 CM・予告の途中で映画泥棒と映倫があり、ふたたび予告が続いて、マスクの注意で暗くなって、マナーから映写機の上下マスクのシネスコで本編へ。


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